ドイツ商工会議所との交流会開催

2013年8月29日、午後7時から9時30分までサンパウロ市内南端部に位置するブラジルドイツ商工会議所に於いて第1回交流会が開催された。各々の会議所から20名が参加した。2008年と2010年にはアメリカ会議所との交流会を実施したが、ドイツ会議所とは今回が初めて。

複数のスクリーンが設置された会議室で初めにブラジルドイツ商工会議所のトーマス・シュマル会頭(ブラジルフォルクスワーゲン社長)が開会挨拶を行い参加者へお礼を述べた。続いてトーマス・チム副会頭がドイツ会議所の活動についてプレゼンを行った。ドイツ会議所の世界的プレゼンス、組織等を説明、15拠点に合計220人の職員が勤務(フランクフルト駐在事務所5人、サンパウロ150人、その他65人)、年間イベント330回開催、本国から約40回のミッションを受け入れている事を説明。

在フランクフルト駐在事務所の職員5人が企業支援・誘致をアクティブに行っているのが特筆される。又サンパウロの会議所内にはドイツのあらゆる機関からなるビジネスセンターを設けている。ブラジル最大級のサステイナビリティーをテーマとした学会Ecogerma の開催や同会議所内に技術イノベーション室を設置、伯独の企業向けの表彰を企画するなど、環境・技術・イノベーション分野にも力を入れている。その他ドイツ特有のデュアル教育システムを活用しての企業間研修支援や今年はブラジルドイツ交流年を記念、5月にはジルマ大統領、ガウク独大統領出席のもとでサンパウロにおいて第31回独伯合同会議が大々的に開催したと述べた。

引続いて藤井晋介会頭からの挨拶では移民の歴史をはじめドイツとブラジルの関係は日本とのそれよりも遥かに進んでいると理解しており、この交流会で独会議所からいろいろ学びたいと述べた。

引き続き平田藤義事務局長がブラジル日本商工会議所活動の現状と将来課題である基盤強化についてプレゼンを行った。先ず最初に今までのドイツ会議所との個人的な接触経緯を回顧しながらドイツから謙虚に学び取る点があまりにも多いと前置き、第1回交流会開催の実現にご尽力頂いたマ―ティン・ゲバート専門教育部ディレクターおよびトーマス・チム副会頭に謝辞を述べた。

会議所の沿革、組織、委員会や部会活動、事務局の役割や全世界に向けた情報発信、様々なセクターとの意見交換、両国政府への提言や他国会議所との連携について説明。日伯経済合同委員会(CNI/経団連)や日伯貿易投資促進委員会(MDIC/METI)などの場を通し2012年初めから商用マルチビザ発行、2012年3月から日伯社会保障協定発効等の具体的な成果が挙がった事に満足を表明。

現在、日本からの中小企業進出の最大のボトルネックとなっているビザのフリー化に向けて、来伯の関係閣僚や政治家に鋭意働きかけていることを強調した。また今後当会議所が力を入れるべきところは先般、経産省が世界の主要なジェトロ事務所に中小企業海外展開支援プラットフォーム事業の立ち上げに呼応、在東京日本商工会議所(日商)との連携強化についても言及、独会議所に倣い本国からの資金援助の必要性を示唆した。

当会議所の会員数は現在354社(うち進出企業214社)であるが、3年後の2016年には500社(進出日本企業350社)を目指していると説明した。そして平田事務局長は今日現在のドイツからのブラジル進出企業数が1600社であるのに対し、日本は僅か400社に過ぎず、両国の進出企業会員数の比較で見てもドイツの1400社に対し日本の215社には約7倍の差が生じたのは何故なのか特性要因分析の手法を用い、その根本的な要因として本国からの資金的援助やフリービザの有無が大きく影響していると推測。

地政学的な関係強度(両国の関係は距離の二乗に反比例)、ダイレクト便の有無、移民の歴史、本国の文化/言語教育普及の違い等が根本的な要因として挙げられるが他方、戦略的要素と考えられる職員数の規模の圧倒的な違い、会議所内の進出支援ビジネスセンター設置の有無、会員企業の現地化の差等も可なり影響していると強調。

また煩雑で負担の大きい税制や多い労働訴訟/高い人件費、ブロクラシー大国、インフラ未整備、保護主義並びに治安の悪いブラジルを日本勢は概ね悲観的にみているが、欧米諸国とりわけドイツは将来のビジネスチャンスと肯定的に捉えているのではと参加者に対し自問・疑問を投げかけた。日本のマスコミは6月20日の抗議デモを悲観的にみているが、ドイツの見方は「眠れる巨人がついに目を覚ます歴史の一通過点」と捉え、むしろポジティブな見方をしている事にも大きな差があるとした。外資系企業にとってブラジルという経営の土俵は全て同じであるために、日本勢は本日の交流会で投資・進出戦略の違いなどについて大いに意見交換を行い、ドイツから謙虚に学び取り日々の経営に役立ててほしいと結んだ。

交流会は7時半に開始8時15分に終了、参加者はラウンジへ移動、両会議所の理事が和やかな雰囲気の中で懇談し記念撮影の後に解散した。

Powerpointドイツ会議所との交流会プレゼン(日本語) 2013年8月29日

Pdfドイツ会議所との交流会プレゼン(ポル語) 2013年8月29日

ブラジルドイツ商工会議所のトーマス・シュマル会頭、ブラジル日本商工会議所の藤井晋介会頭、ブラジルドイツ商工会議所のトーマス・チム副会頭並びに両商工会議所の参加者一同で記念撮影

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=38486