【ある外交官の勇気】

理論と実践の溝は、大胆な行動によって埋めることができる。この週末、ブラジル人外交官が自己の責任とリスクによって、人道主義の原則とブラジルの外交政策が不可分だと判断を下したことは、まさにその証明となった。あらゆる局面において、外務省は、国際社会に対して人権を最優先するよう訴える。ただ、自身のおひざ元、ラパスのブラジル大使館において、それを実践できていないだけだった。この不作為を受けて、前例のない計画を推進するためにエドゥアルド・サボイア代理公使が交渉役に立ち上がった。この計画によって、同大使館に2012年5月に保護され8月23日に軟禁生活が452日を迎えたボリビアのロージェル・ピント・モリーナ上院議員(53)の命を救ったと言える。

エボ・モラレス大統領と敵対する野党「ボリビアのための進歩計画ー国民結集(PPB-CN)」から当選したロージェル・ピント上院議員は、汚職と侮辱罪(麻薬取引を保護しているとしてモラレス大統領を名指しで非難)、環境破壊、横領、更には殺人も含め、20件以上の犯罪で告発されている。同上院議員の庇護は、大使館に駆け込んで数日後、ジウマ・ロウセフ大統領が受け入れた。モラレス大統領はブラジルの判断を批判するとともに、ブラジル入国のために同国内を移動する場合の安全保障を拒否し、それ以降、内政干渉としてブラジル大使を非難してきた。問題を膠着状況に置いておくという対応は、不適切なまでの畏敬の念をもって扱われるボリバル主義の指導者からの圧力だけで、外務省が対応していたのではないことは明白だ。下手に回って対応するという同省の政策は、かつてのルーラ大統領を彷彿とさせる。

モラレス政権は発足直後の2006年5月1日、選挙公約を履行すべきではないとする大きな批判を受ける中で、石油とガス業界の国有化に着手、ペトロブラスの製油所には軍隊を派遣して占拠した。当時のセルソ・アモリン首相と大統領府のマルコ・アウレリオ・ガルシア外交担当補佐官と完全に歩調を合わせていたルーラ大統領は、同国の横暴な行為まで称賛しかねない状態だった。政権は交代したが、急所は何も変わっていない。南米大陸の不安定な歴史の中で、政治的亡命と庇護は世俗の習わしとなっており、ごく一部の例外のみが規則に示されてきた。だが、ブラジルの外交筋は、こうした事実をモラレス大統領に示すには及び腰で、彼の態度が受け容れ難く、それどころか人権に関するブラジルの政策に対して非礼であると伝えるだけの勇気がなかった。

むしろ外務省は、上院議員の身体の衰えや自殺をほのめかすような精神面の衰えを示す健康診断について報告を受けていながら、なおも及び腰だったという証拠がある。その程度は、控えめと言えるものではなかった。サボイア代理公使がグローボ局とのインタービューで、亡命者がクラス部屋を暗示して、「私は、自分の仕事場の横にDOI-Codi(情報操作局公安活動センター)があるかのように感じた」とまで言い切った。「そして、もしその場所が存在しければ、問題は抜本的に解決されるのだ」。同代理公使は、2度にわたり、外務省に警告のためにブラジリアへ足を運んだ。またラパスから自身を異動することも要請した。最終的に、「1人の生命と尊厳に危害が加えられる差し迫った危険」から、同代理公使は行動を起こした。同代理公使は23日午後、大使館勤務の海兵隊員2人を伴い、外交官プレートを付けた2台の公用車でロージェル・ピント上院議を連れ出し、22時間の移動の末、コルンバーまで移送した。

24日夕には、下院外交委員会議長でこのオペレーションに参加したエスピリト・サント州のリカルド・フェラッソ上院議員が用意した航空機で、ブラジリアに向けて移動した。足元をすくわれた外務省は、「行政措置と適切な処罰を下す」と発表した。だがこれは、やめるべきだ。ブラジルを取り巻く環境を見れば、サボイア氏は英雄になり得るし、政府は死刑執行人になり得る。他方、ボリビア政府は「逃亡容疑者」の返還をブラジル政府に求めたが、実際には、これは不適切な要求だ。というのも彼は、どこかの時点でテクニカルな意味で、ブラジルの領土から出ているからだ。ボリビア当局は、このケースが二国間関係に影響を与えない例外的ケースだとした。それというのも、モラレス大統領にとっては、ブラジルを挑発することが、一切のコストを掛けることなく、常に与党の政治基盤のイメージ改善に役立つからだ。

また外務省にとっても、ロージェル・ピント上院議を保護している間に忘却していた人の尊厳について懺悔し、モラレス大統領が新たに繰り出す虚勢に対して厳しく対処するという体質改善に貢献するだろう。そして、この外交官を通じて同省は、布告したことに対しては一貫性を持つべきだと学んだのである。
 
(2013年8月27日付けエスタード紙)

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