メルコスル加盟国内の交渉は急速な進捗を見ているが、一方で加盟国間の関係がさらに悪化している。
メルコスルは数日中に、欧州連合(EU)との貿易協定の交渉に向けた統一的な提案を予定では4月まで、早ければ3月中にもまとめる作業に乗り出す。だがこの全体活動を見る限り、加盟国5か国がそれぞれに、同じ経済圏にいる貿易パートナーへの配慮がないことは否定できない。
日ごとに高まるアルゼンチンの貿易障壁、ベネズエラのサプライヤーに対する債務支払不履行、パラグアイにおける中国製品の迂回輸入など、ブラジルは、隣国との関係を保とうとすればするほど、問題に直面している。
メルコスルが大きな恩恵を受ける力ずくで加盟が認められたベネズエラは、今となっては新たな頭痛の種になっている。マドゥロ政権は、アルゼンチンとは逆に同国で消費するものはほぼすべて輸入することに問題はない。だが、同国は支払いに支障をきたしており、まさに今、この問題が大きな障壁となっている。同国政府は具体的な数字を明らかにしていないが、受け取るべきドルを手にしていない企業は、少なくない。市場の推計によればベネズエラは、ブラジルに対して約15億ドル、総額では100億ドル近くの債務支払不履行を抱えている模様だ。
ブラジル政府は2013年10月から、ベネズエラ政府とこの問題について協議を重ねているが、解決していない。ベネズエラ政府の外貨不足は、とりわけアメリカ向けの石油輸出が激減した前年以降に顕著だが、この債務支払不履行は国内の品不足を拡大するばかりで、政治的安定に向けた取り組みに対しても打撃を与えている。ブラジル貿易協会(AEB)のジョゼー・アウグスト・カストロ会長はこの事情について、「ある企業が前金を受け取らない場合、この企業は単純に、もう輸出をしない。誰も、あえて輸出する勇気など持ち合わせていない」と言う。
【生活必需品】4種類の為替レートが存在し、そのレートは、公式の1ドル=6.30ボリバルから闇市場の1ドル=87ボリバルまで広範囲に及んでおり、こうした状況にあって、ベネズエラ政府が公式にドル送金を承認した企業だけが輸入できる。通常、その対象になるのは生活に直結している製品が優先される。このため、ブラジルの食肉と食肉派生品業界は、最も大きな被害を受けている業界の1つだ。だが、ブラジル肉類輸出事業者協会(Abiec)はこの問題に深入りしない態度を貫いている。エスタード紙の取材に対して同協会は、ただ、「重要な市場」と表現し、ベネズエラとの「緊密な関係」に関心をもっているとだけ発表した。
メルコスルのもう一方には、常に複雑な関係に終始してきたアルゼンチンが控えているが、同国の経済状況はこの数か月でさらに悪化しており、直面している為替危機を見る限り、将来的にこの状況が好転する兆しは全く見られない。AEBの試算によると、最も楽観的に見たケースでも、ブラジルは、2014年の対アルゼンチン輸出が前年比15%以上、30億ドル以上の落ち込みとなる。ペソ安と、不十分な外貨準備高、その結果として、財政問題を緩和しようと輸入障壁を設けたことで、ブラジルの輸出が直接的な打撃を受けるためだ。
AEBのカストロ会長は、「我が国がアルゼンチンと抱えてきた伝統的な問題が、更に拡大している。事態は悪化しており、同国の経済情勢は、極めて憂慮すべきものだ。もちろん、我が国の被害が拡大していることは言うまでもない」と説明する。2013年12月初旬にアルゼンチンは、2014年上半期だけで自動車輸入を27.5%縮小すると発表した。ブラジルの自動車産業が同国向けの輸出の87%を占めていることから、ブラジルの貿易収支に与える直接的な影響は小さくない。
【輸入処理の遅れ】アルゼンチンとの貿易問題は、輸入許可のための事前宣誓供述書(DJAI)の提出を求めるという障壁を設置したことから始まった。例外的なケースを除いてDJAIの提出から最大60日以内に輸入を許可するとしているが、実際には、1年を要しているものもある。この制度はアルゼンチンがドルの流出を防ぐ目的で導入したもので、これに伴って、これまでのところシューズ業界と繊維業界、自動車部品業界が、より大きな被害を受けている。
ブラジル履物工業協会(Abicalçados)のエイトール・クライン会長は、「業界は2013年に、40万足以上の輸出契約が最終的にまとまらず、深刻な損害を被った。これまでのところ、状況は全く変わっていない」と説明する。その上で、「全く先が読めない。このような状況でビジネスを展開するのは極めて難しい」と付け加えた。アルゼンチン政府は最近になって、障壁を更に拡大している。30万ドルを上回る輸入に対する支払いには送金に中央銀行の特別承認が必要になるというもので、同国の輸入処理が更に長期化し、事実上、輸入を阻止する制度として機能している。(2014年3月5日エスタード紙リザンドラ・パラグアス記者)








