ピニェイロ・ネット弁護士事務所共催による第3回ブラジル・ビジネスロー研究会に150人が参加して開催

日伯法律委員会(村上 廣高委員長)は、会員企業であるピニェイロ・ネット弁護士事務所及び同提携先の森・濱田松本法律事務所との共催による第3回ブラジル・ビジネスロー研究会は、2014年3月31日午後3時30分から6時までピニェイロ・ネット弁護士事務所の大会場に150人以上が参加して開催された。

初めに村上 廣高委員長は、昨年9月に続いて商工会議所との共催によるセミナーは2回目であり、テーマは「ブラジル進出企業におけるコンプライアンスと危機管理」で、企業が抱えるリスクの中でも身近なテーマであり参考になると説明、また講演者の梅津英明弁護士並びに井上淳弁護士、マリオ・パンゼリ・フェレイラ弁護士、マルコス・マゼネロ・レストレポ弁護士の略歴を紹介した。

2014年10月末までピニェイロ・ネット弁護士事務所のリオデジャネイロ・オフィスにて執務中の森・濱田松本法律事務所の井上淳弁護士は、「ブラジル進出企業におけるコンプライアンスと危機管理~新腐敗防止法制を中心に、内部統制のあり方から違反行為発生時の対応まで~」と題して、本日のトピックスとして、外国公務員への贈賄に関する規制、ブラジル腐敗防止法(Anti-Corruption Law)について、国際的な規制の状況、OECD外国公務員贈賄防止条約、米国並びに英国、日本、ブラジルの現状について説明、ブラジルの新腐敗防止法として、行政処分、司法処分、法人を処分の対象とすることが明記、法人の責任は厳格責任、制裁金・損害賠償に関する連帯責任、内部統制、リニエンシーなどについて説明した。

続いてピニェイロ・ネット弁護士事務所のマリオ・パンゼリ・フェレイラ弁護士並びにマルコス・マゼネロ・レストレポ弁護士は、「日本企業がブラジルでビジネスを行っていくためのコンプライアンス並びにリスクマネージメント」と題して、コンプライアンスの原点として、『公正・適切な企業活動を通じ社会貢献を行なう』という思想があり、コンプライアンスの遵守すべき範囲は、各企業が法令・社内規程・マニュアル・企業倫理・社会貢献などの範囲で自発的な取り組みを行う必要がある。

 コンプライアンスは、個人のレベルで行なうものではなく、企業組織で組織全体の課題として行なうものであり、先ず経営者がコンプライアンスを理解し、コンプライアンスを重視した経営姿勢への転換を決意しなければならず、整備には多くのコストや労力が必要となる。

内部統制の基本的要素とは、内部統制の目的を達成するために必要とされる内部統制の構成部分をいい、内部統制の有効性の判断の基準となり、統制環境並びにリスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)、IT(情報技術)への対応で構成されることなどを説明した。

森・濱田松本法律事務所の梅津英明弁護士は、「日本企業の視点から見る留意点と本日の研究会の総括」について、ブラジルにおける日本企業又は日系企業のコンプライアンス・危機管理の観点として、言語の問題並びに文化の問題、現地慣習等の問題、日本人駐在員の少なさ-管理・監督の問題、日本の本社が要求する内容と現地の状況との不整合などが障害となり、ブラジル人従業員や合弁相手・提携相手への依存並びにエージェント・代理店・コンサルタント等への依存、言語の問題によるコミュニケーション不足、従業員等の管理体制・モニタリングに手が回らない、慣習、日本の本社が要求する内容が現地で機能しないなどのリスクが存在すると説明した。

また疑わしい兆候・日常業務上の留意点として、言葉の壁により、ブラジル人従業員やエージェントが公務員と接触した場合の言葉の壁による内容把握が困難であり、限られた人員での運用で同一従業員が同じポジションを長年担当する危険性、コンサルティング契約・エージェント契約では、業務と対応しないコミッション・成功報酬、サービス内容が曖昧、オフショア口座に支払を求めるなど不明瞭なことが発生する危険性があるが、帳簿類は数字で確認できるために、言葉の問題にも関わらずチェックできることなどを説明、また効果的な対応策としてコミュニケーションの重要性、日本の本社の制度が機能しない場合の「適切な」ローカライズの必要性並びに違反撲滅に関する明確なメッセージ(コミットメント)、内部監査として、ブラジル人従業員を含めた広範な聞き取り調査や必要に応じてメールもレビュー対象とすることなどを説明して第3回ブラジル・ビジネスロー研究会は大成功をおさめたあと、ピニェイロ・ネット弁護士事務所の屋上でカクテルパーティが開催された。

Pdf森・濱田松本法律事務所の井上淳弁護士 「ブラジル進出企業におけるコンプライアンスと危機管理~新腐敗防止法制を中心に、内部統制のあり方から違反行為発生時の対応まで~」

Pdfピニェイロ・ネット弁護士事務所のマリオ・パンゼリ・フェレイラ弁護士並びにマルコス・マゼネロ・レストレポ弁護士 「日本企業がブラジルでビジネスを行っていくためのコンプライアンス並びにリスクマネージメント」

Pdf森・濱田松本法律事務所の梅津英明弁護士 「日本企業の視点から見る留意点と本日の研究会の総括」

左から森・濱田松本法律事務所の土屋智弘弁護士/梅津英明弁護士/井上淳弁護士/ピニェイロ・ネット弁護士事務所のマルコス・マゼネロ・レストレポ弁護士/マリオ・パンゼリ・フェレイラ弁護士/村上 廣高委員長/ブルーノ・バルディシニ弁護士

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

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