彼らにはメッシがいるが、こちらにはネイマールがいる。仮に国民的英雄のマラドーナを持ち出すのなら、こちらはペレで応えよう。サッカー・ワールドカップの19回大会(2014年が20回である)までに我々が5度の優勝を果たしたのに対して向こうは2度だ。更に試合回数でも我々は同じく私たちの価値で、こちらが99試合なのに対してあちらは70試合だ。ブラジルとアルゼンチンは、フィールドの中でも、サポーターとしても、良きライバルと言える。双方のセレソン(代表チーム)は、今回のワールドカップ・ブラジル大会においても優勝候補であり、ブラジルはV6、アルゼンチンはV3を狙う。だが、このボールが経済の方に転がっていくと、話は大きく異なってくる。私たち2カ国は、全く逆方向、つまり、どれだけダメかを競うチャンピオンシップでトップ争いをしている。
経済問題では、この2カ国の間には多くの共通点と、わずかな差異がある。手始めに、南米大陸でこの2カ国だけ、国家元首が女性だということがある。クリスチーナ・キルチネルは、夫であるネストル・キルチネルの尻馬に乗って権力の座に就いたし、ジウマ・ロウセフも同様にルーラの尻馬に乗って階段を上った。共に初心者であり、インドのインディラ・ガンジーのマーガレット・サッチャー、あるいはドイツのアンジェラ・メルケルのような、聡明さや蓄積された政治的経験は持ち合わせていない。クリスチーナは夫が政策の継承者として「売り出した」のであり、ジウマも同様で、ルーラ曰く優秀なマネージャーであり素晴らしいプランナーということだが、失敗に向かう切り札となる才能の寄せ集めだった。事実、2人は、何らのプランどころか政府の行動計画も持ち合わせず、アクションを起こせば敗北し、イデオロギーに満ちた判断を下せば失敗、過去の誤りを修正する代わりに意固地になり、集権化を進め、想定されたよりもみっともない形で奈落の底へと転げ落ち、経済に対して不器用に国家の介入を進め、あちらこちらで降りかかる火の粉を払うのに精いっぱいなのだ。
南米における敗者決定トーナメントでは、国内景気のリセッションと高い失業率、年率70%にも達するインフレ、食料品を含む生活品の供給不足、石油資源を浪費し、消耗に打ちのめされている敗者の中の敗者であるベネズエラにだけ、アルゼンチンとブラジルは勝っているに過ぎない。そしてアルゼンチンはブラジルの前を走っている。2014年にはゼロ成長と30%に達するインフレ、高い失業率と消費の落ち込み、投資の回収と捜査された為替から逃避する為の企業の撤退(これにはペトロブラスとバーレも含まれる)といった技を繰り出し、優勝カップをその手に掲げようとしている。
BRICSの勝ち組みに入ったこともあるブラジルは、手のひら返しで後ろ向きに行進を始め、今年の国内総生産(GDP)は新興国の平均である4.8%の成長を大きく下回る0.5%から1.5%程度の成長率に落ち着く見込みで、インフレは6.5%に設定されたインフレ目標の上限を突破する恐れすらあり、金利は発展にブレーキを掛けるほど高く、政府の支出はうなぎのぼり、工業部門の生産と雇用は下降線をたどり、GDPに対する投資の比率も17.7%に後退してジウマが公約した25%と差が広がるばかりで、経常収支赤字も拡大、ペトロブラスとエレトロブラスを中心に公社は衰退中だ。
より明白な類似点は、政治的な計画に見られる。この2カ国の政府内では余りにも不正行為が横行しているために、腐敗し、汚染され、統制を失い、処罰すらない環境を醸成し、政府職員と公社は何も恐れずに不正をやりたい放題だと受け止めているほどだ。ブラジルでは、国内最大の企業に役員として8年勤務したある従業員が逮捕されたのだが、スイスの銀行の口座に2,300万ドルもの預金があるのだ。アルゼンチンでは、不正行為の容疑で共和国副大統領が裁判所での6時間の取り調べ後に裁判所の介入により大統領府に戻り、この国の将来にとって重要な案件の判断を下して署名し続けている。
その上、クリスチーナとジウマには逆境に対処する際に権威主義の笠をかぶるという共通点がある。仮に不都合な真実が持ち上がれば、取り繕って切り抜けようとするのだ。クリスチーナは経済指標を偽り、ジウマは公会計を粉飾する。そして2人とも、過ちを取り繕おうと規定を変更し、経済に介入し、ぎくしゃくさせた後に信用を失い続け、民間投資が霧散する。
ブラジルは、少なくとも、社会分野で一定の成果を出した。失業率は引き続き低く、所得の分配を改善し、貧困層から新興中産階級への移行があったし、コンピュータとマイカーを持つことができた。投資が落ち込む中で雇用がどれほど維持されるのかはわからないが、成果は小さなものではない。一方、アルゼンチンには成果と呼べるものが何もないのだ。(2014年6月15日付けエスタード紙)スエリー・カルダス:ジャーナリストでリオ・カトリック大学(PUC-RIO)教授。








