【脆弱な対外収支】

対外収支は引き続き厳しい状況にあるものの、過去数年の国際収支の流れとしては珍しい偶然なのだが、6月のデータには、少なくとも2つの好材料があった。健全な対外収支は経済の健全性を担保する上で重要な要素である。ブラジルを襲った大規模な経済危機の大部分が、この分野に関係してきたのだから。

まず、最初に挙げたい好材料は、経常収支赤字の縮小だ。6月の経常収支赤字は33億4,000万ドルで、過去9か月で最低額に止まった。2013年10月から、経常収支赤字は常に50億ドル以上で推移してきたのである。ちなみに経常収支とは、貿易収支とサービス収支、所得収支、経常移転収支が含まれており、より広範囲に国外との富の移転を計測する指標だ。そして2つ目の喜ばしいデータは、経常収支赤字をカバーするのに十分な、39億2,000万ドルの外国直接投資(FDI)を計上したことだ。実業界に振り向けられるこの種の投資は、国外からの融資としては、より安全で、より生産的なのだ。

ただし、もっと長期的視点で眺めると、対外収支が置かれた状況は褒められたものではない。2014年上半期の経常収支赤字は433億1,000万ドルに達しているだけでなく、1年前の水準を若干上回り、国内総生産(GDP)の3.84%にも相当する。FDIは292億6,000万ドルで、この赤字を補填するのに必要な金額を大きく下回った。過去12か月のデータを分析しても、同様に苦しい状況にある。この間の経常収支の累積赤字額が811億9,000万ドルだったのに対してFDIは632億7,000万ドルにしか届いておらず、しかも、このFDIは2013年6月に記録した655億3,000万ドルをやや下回るのだ。

こうした長期データの中で唯一、ポジティブな結果を出しているのが投資家の投資意欲で、昨年と極めて似た状況にある。つまり、依然として多くの実業家が、ブラジル経済の潜在能力について楽観的に評価しているのだ。直接投資は、好況時、あるいは最悪の場合でも投資先として選んだ業界が堅調であれば、収益性が確保されるという性格を持つ。反対にネガティブなデータは、投融資のマッチング、つまり資金調達に対する需要の側と、より安全で生産性を求めて資金を供給する側のミスマッチが、過去2年で一層拡大したことだ。

6月までの過去12か月間の経常収支赤字は、この期間に想定されるGDPの3.58%にも達した。2013年8月以降、この水準は3.6%近辺を下上しながら推移している。短期的には危機的状況と呼べるものでもなく、危険な状態だと言えるものでもない。それに国際市場が新たに混乱に陥った場合、ブラジルは、少なくとも若干の期間、3,800億ドル程度で良好な水準を確保している外貨準備高に守られる。

だが、市場の悪材料に加えてブラジルの先行きに対する懸念が拡大すれば、この外貨準備高は、危険なほどに急速に縮小する可能性がある。この種の悲劇は、ブラジルに限らずその他の国々、一部の先進国でも、経済史の中で経験済みだ。その上、先行きに対して懸念が広がれば、年間600億ドル規模のFDIもおぼつかないものになる。

2014年に関して中央銀行(中銀)は、経常収支赤字が800億ドル(GDPの3.47%)、FDIが630億ドルを記録すると予想している。この2項目は2013年にそれぞれ、810億6,000万ドルと640億ドルを計上した。つまり中銀が想定している変化はわずかで、2013年の水準どころか2014年6月までの過去12か月間の実績の延長線にある。

こうして見ると今後は、貿易収支が最大の課題になるだろう。国境を越えた財の移動を計測する貿易収支は2014年に50億ドルの黒字が見込まれており、25億5,000万ドルの黒字だった2013年を若干上回ると推算されるが、ブラジルが必要とする黒字額を大きく下回っている。我が国は、サービス収支と所得収支の赤字を、その一部でも貿易収支黒字で埋め合わせるために、この金額を引き上げる必要がある。2年前ですら、ブラジルの貿易収支黒字は190億ドル以上を確保していたのだ。

貿易収支黒字の悪化は、工業部門の競争力の低下が ― それは何年も前から始まっており、最近になって加速度的にその傾向が強まったのだが ― 主な原因である。通商の悪化というのは、低生産性と高コストという産業部門の状況の悪化と同根なのだ。これらは、政策の失敗を反映している。これこそ、外部リスクを呼び込む諸悪の根源なのだ。(2014年7月27日付けエスタード紙)

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