ロルフ・クンツ*
先進諸国で発生した金融バブルの崩壊から6年後、ブラジルでは、連邦政府における無能力バブルと大衆迎合主義バブルが崩壊した。新たな利上げと、財政の健全化に向けて2015年により大きな努力を払うという連邦政府のコミットメントは、少なくとも、過去4年に積み上げられてきた数々のミスと、稚拙な場当たり的な対策、生産を拡大することなく消費の拡大を煽るという驚くべき「モデル」によって生じた損害の結果だと位置づけられている。あるいは、最大限に譲歩しても、その結果だと推論されている。
財政の健全化に向けこれまで以上に努力すると発表したのは、ほかならぬギド・マンテガ財務大臣で、2014年1―9月期の公会計の結果が判明する直前だった。国庫管理局のアルノ・アウグスチン局長は、またもや、翌月には公会計は改善するとの公約を発表した。この時点でこうしたコミットメントは、もはや冗談にしか聞こえない。中央政府(国庫管理局と中央銀行、社会保障院)のプライマリー収支黒字が2014年に808億レアルに達するには、当時、国庫管理局の規定では第4四半期に965億レアルの黒字を、中央銀行の規定では1,002億7,000万レアルの黒字を、それぞれ達成する必要があった。そういうことは、謎でも何でもない。国庫管理局の報告書によると中央政府は1―9月期に157億レアルのプライマリー収支赤字を計上しており、中央銀行の報告書の場合には、194億7,000万レアルの赤字を計上していたからだ。両社の金額の違いは、中央銀行の規定には融資の必要性が考慮されていることによる。
2014年の場合、少なくとも9月までは、配当と事業認可による事業売却益、支払いの遅れている租税の分割払いの受け入れといった「筋肉増強剤」の後押しを受けながらも、プライマリー収支黒字の達成に失敗した。連邦政府はこのほど、国会において、滞納税の分割払いを受け入れる滞納税回収計画(Refis)をまたも再開することに成功した。8月25日に終了した前回のRefisでは、納付額が連邦政府の期待を下回った。もっとも、こうした創造的会計手法は過去にもずいぶんと使用され、その都度、短期的な歳入を生み出してきた。だが、連邦政府内部では、それが同時に脱税を後押しするとの批判も生んでいる。つまり、恒常的に新たなRefillsが実施されるのなら、国庫管理局へはデフォルトをベースにオペレーションすることが企業にとって良いビジネスだと言えるからだ。
一方、年明け以降の9か月間で積み上がった累積赤字は、長期的には、より重要なものとして注目されており、伝統的に優れた財政政策を導入してきた国々はこれを指針にしているのだ。行政は、国庫管理局が抱える負債の利払いをして償還するために、プライマリー収支黒字を確保しなければならない。つまるところ、本当に重要な数字というのは財政収支、すなわち、利払いと負債の償還も含めた公会計全体の収支なのだ。2008年に発生した国際金融危機以降、先進諸国を襲う財政上の大災厄は、常に、このコンセプトを持って計測されている。
この基準を適用するとブラジルは、2013年の時点で既に先進国の多数よりもひどい状況であり、その上、2014年に同じ比較をした場合、事態はさらに深刻だ。2014年9月までの過去12か月間で見ると、公共部門の名目赤字は、国内総生産(GDP)の4.92%に達する。国際通貨基金(IMF)が10月に発表した見通しによると、ユーロ圏における名目赤字の平均水準は、2014年に2.9%である。
こうした状況にもかかわらず、ジウマ・ロウセフ大統領は、ごく最近まで、ブラジルの財政状況について、先進国の大部分とほぼ同じ水準にあると言い張っていた。恐らく、今もって言い張っているだろう。結局のところ、彼女の認識しているレベルというのは、最善の前提に基づいており、連邦政府の経済スタッフと同じように素晴らしいものだということだ。その上、ジウマ大統領と彼女の補佐官らは、常に、最後の手段として、ブラジルよりも大きな先進国の債務について言及して話をそらすことができるのだ。だが、この種の主張はどのようなものであれ、仮にこれらの国々の発行する国債とブラジルの国債とを、信用という点で比較だけで論拠は見事に崩れ去るのだ。
それは、発行あるいは繰り延べのために各国の政府が支払う利子の大きな差として、反映されている。ブラジルの国庫管理局が直面しているこのコストは、極めて大きい。今後2年、金融市場におけるブラジルのハンディが仮にも拡大するなら、ブラジル政府は、自国の信頼性を高められないだろう。信用格付会社の上層部は、過去数日にわたって、極めて明確なメッセージを送ってきた。公会計の極めて劣悪な状況だけでなく、低い経済成長率について、大いに注目している。
格下げは、とりわけ市場が信用を収縮させている時には有害だろう。アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会は、アメリカの景気回復に向けた金融緩和策を終了すると発表した。それは与信供与の拡大に向けた通貨の大規模な発行が終焉することを意味する。次の大きな一方は、アメリカの利上げになるだろう。いつ実行されるかは不明だが、見識のある人たちは、国際金融がより厳しい状況に至ると見て、準備している。
10月29日のブラジル経済基本金利(Selic)の利上げは、国外の金融市場で引き締めが進んでいることへの回答でもあるだろう。それでも、国際情勢の変化として考えられる影響の1つは、資本の流れがアメリカに向きを変える、別の平易な言い方をするなら、より安全な方向に向かうという動きである。だがブラジルの中央銀行は、これとは別に、利上げを再開するだけの大きな理由を国内に抱えている。10月29日にSelicを年利11.00%から同11.25%に利上げしたことは、国内問題への対処に向けた最初のステップだ。
インフレは2014年の上半期から、多くのエコノミストの予想を後追いして推移してきた。上半期に失速したインフレは、その後、公会計の蹉跌と膨張し続けた与信供与、生産性を上回る給与の引き上げ、工業部門の供給能力が極めて限定的だったことなど、国内経済の歪みを受けて間もなく加速し始めた。ブラジルのインフレ、低い成長ペース、公会計における大きな失敗、そして、10月26日までに18億8,000万ドルの貿易収支赤字を計上したことなども含めた経常収支の悪化は、一連の経済政策が失敗したことを意味している。過去数年の偉大な新発明であるこの成長モデルは、異常なまでの規模の、もはや失敗と呼ぶ以上の大災厄につながった。これまでに得られた教訓をジウマ・ロウセフ大統領が無視し続けるなら、この災いは、さらに、それも極めて大きなものになるだろう。(2014年11月1日付けエスタード紙)
*ジャーナリスト








