10月13日、JETROサンパウロはパラグアイ商工省4階の大会議室で日・パラグアイセミナーを開催した。パラグアイで何かが起こっており、時宜にかなったセミナーの重要性から村田会頭と平田事務局長が参加した。
会員関係企業(ブラジルを中心にアルゼンチン、パラグアイ出張所)が約40社、在パラグアイ日系企業、日本政府関係者(JETRO、大使館、中南米室)、パラグアイ政府関係者を合わせ約100名位が参加した。
昨年3月、パラグアイのグスターボ・レイテ商工大臣が昼食会に参加、そのまま当所の大会議室で投資セミナーを開催したことがある。また上田善久在パラグアイ日本国大使が今年4月の定例昼食会に参加、「パラグアイの国情と好転する投資環境」と題しパラグアイの魅力について熱弁を振るったのは記憶に新しい。
一方、経産省の通商政策局では、中南米、特にブラジル市場において日本からの進出企業が、ブラジルコストと呼ばれる複雑な税制などの課題を抱える中で、ウルグアイやパラグアイを活用して課題を軽減できないかという調査研究が行われている。この調査研究には業務委託先のアクセンチュア社から協力の要請を受け、会員企業に目下アンケート調査を実施している所である。
調査研究の裏には平成25年6月に閣議決定された海外市場の取り込みが大きな柱になっている「日本再興戦略」がある。約2億8千万人を擁する人口、GDP合計がASEAN10か国を超える巨大市場(メルコスール)の取り込みだ。
地域統合に向けて盟主国ブラジルやアルゼンチンとの狭間で宿命的に翻弄されるのが小国のパラグアイやウルグアイである。生き残りを賭け独自の政策で存在感を示す必要がある。ウルグアイが物流拠点や金融センターとしての比較優位性があるとするなら、パラグアイは安価で豊富な電力、豊富な若年層人口、安価な労働コスト、低率な税負担(GDP比13.7%)を上手く活用、製造拠点としての位置付けで期待ができる。
セミナーは10時半、上田善久大使の開会挨拶に始まり、主催者の菅原廣充経産省中南米室長の挨拶に続き、レイテ商工大臣が「今のパラグアイ」をテーマに講演を行った。
開放的な活気のある民主国家、世界の食糧供給基地、隣国やEUまた世界とのWin-Win関係構築、中国からの輸入代替に関しブラジルと連携、スペインやEUおよび世界の主要国と投資・技術・通商統合計画、パラグアイの投資回収率(ROI)が22%、コントロールされたインフレ。
直近11年間のGDP成長率4.8%、市場アクセス、アジア諸国に劣らない競争力(税負担、エネルギーコスト、労働コスト、若年労働力)、ブラジル企業と比較したパラグアイの優位性(賃金、電力代、税金)、マキラ制度利用企業数94社の内80%が驚くなかれブラジル企業。
2014年度のマキラの輸出額は2億5千万ドル、潜在成長力として食糧生産が3倍に、10万個の住宅建設、世界第3位のバージ船所有国、豊富で安価な電力、世界第4位の大豆輸出国、6位のトーモロコシ輸出国、6位の牛肉輸出国。
「パラグアイ2030」と称する中長期グローバル・ビジョン作成には2000人以上の市民社会のリーダーが参画、ムーディーズが2015年9月にほぼ投資適格国にランク付けされたことを分り易く説明した。(パ商工省作成の添付のスライドおよびビデオ参照)
村田会頭から「在伯日系企業が直面する課題とパラグアイへの期待」と題しブラジル日本会議所の概要、在伯日系企業が直面する課題とパラグアイへの期待、会員企業のパラグアイ展開支援についてプレゼンを行った。(添付スライド参照)
「パラグアイ投資の魅力およびパラグアイ政府への期待」と題し常石パラグアイ造船および矢崎・パラグアイが各々プレゼンを行った。最近進出を果たしたフジクラも飛び入りでプレゼン、いずれも成功事例の発表であった。
2~3の質疑応答を受け付けた後、着任したばかりの大久保 敦JETROサンパウロ事務所所長の閉会挨拶でセミナーを締めくくった。大盛況であった。
(写真提供:ジェトロ・サンパウロ事務所)
村田会頭と平田事務局長はセミナーの1日前にアスンション入り、在パラグアイ日本商工会議所の林 英二郎会頭、伊賀上 知雄副会頭と双方の会議所活動や直近の両国の経済情勢等々について意見交換を行った。また今後ビデコンを用いた双方向の情報交換も積極的に進めて行く事で意見が一致した。
8月に更新した当会議所パンフレットを日本語/ポル語バージョン各々20部を手渡した。13日のセミナー会場でも参加者に日本語(10部)/ポル語(30部)を配布した。
パラグアイの現状(パラグアイ政府プレゼン資料) ( PPT、ビデオともパラグアイ商工省提供)
在伯日系企業が直面する課題と期待 村田 俊典 ブラジル日本商工会議所会頭