運輸サービス部会(細谷浩司部会長)主催のリオオリンピック施設視察会は、11月18日、19日に行なわれ、商工会議所の建築不動産、貿易、金融、食品、コンサルなど多種の業界会員やリオ現地から、家族の参加を含め総勢41名参加しての視察会となった。
リオオリンピック開催4地区のうちデオドロ地区以外の、バーハ地区、コパカバーナ地区、マラカナン地区をバスで移動しながら周った。また、2日目の午前中には、宿泊ホテルでリオデジャネイロ商工会議所と総領事館の協力の下、安全対策の勉強会と交流会を実施した。天気にも恵まれスケジュール通りにも関わらず、リオのペースはサンパウロとは違いゆっくりしていた。リオはホテルやレストランのサービスもゆっくりしているようで、バス移動にも時間はかかった。リオのペースを考慮して余裕を持ってスケジュールであったのか、安全で無事終了することができた。
サントスドゥモン空港に着いた一行は、リオ現地集合組みと合流し、バスに乗ってバーハ地区に移動。空港やホテルのあるリオの中心地から、大会種目の多いバーハ地区へのインフラ整備が最重要課題であるといわれているとおり、メトロやBRTといわれるバス専用レーンなどは建設中で、すでに試運転されていなければならないが交通インフラ工事は開催前ギリギリまで続きそうである。
バーハ地区で昼食をすませ、シグマックスの堤さんの協力で難しいといわれているゴルフ会場の視察が実現した。112年ぶりの競技復活となるゴルフコースが新規建設中で、その建設に携わっているデザイナーの緒方信行氏とコース設計者のジル氏が一行を待ち受け、彼らの案内のもと約1時間ゴルフ場を歩いた。設計や施工に携わる方々との意見交換はゴルフファンにはまたとない貴重な経験となった。自然を取り入れたコースは広く、平面に広がりきれいに見えた。大会後はパブリックコース、またツアーを呼ぶことなども計画されている。
次にプレオリンピック卓球大会が行われているリオセントロに向かった。6回のオリンピック出場経験のあるウゴ・オヤマさんの協力により招待券を頂き大会会場に入ることができた。家族やメディアや卓球関係者以外の観客はほとんどなく、大会というよりは、競技施設や設備、そして審判など裏方や運営のテストイベントであった。海外選手は南米からにとどまり、ほとんどブラジル選手同士でのプレ大会であった。最後にウゴ・オヤマ氏より、日本研修での指導、ブラジル卓球選手の強化には日本の支援があったとの説明を受け、日本とブラジル卓球協会の強い絆が見えた。
一日目の最後にリオセントロの隣にある選手村を訪問した。これも堤さんの協力を得て、リオで不動産業を営んでいるペレイラ・エミコ氏に選手村のモデルルームを案内してもらった。選手村として活用されるアパートが立ち並ぶIlha Puraは、OdebrechtとCarvalho Hoskenが建設に携わり、これもほぼ完成しているように見えた。Ilha Puraモデルルーム見学中には、オリンピック後の不動産の販売状況などの質問もされ、現場視察でしかできない体験ができた。一行はその後、バスでホテルまで移動し、コパカバーナ海岸沿いで夕食をとって一日目を終えた。
2日目の午前中は、リオデジャネイロ商工会議所と総領事館との共催で、平田事務局長の司会の下、リオオリンピック安全対策勉強会、商工会議所交流会が実施された。リオ総領事館からは、オリンピック・パラリンピック担当の山下領事、治安関係担当の永田領事が貴重な講演をした。また、カマラからは、安全対策について川口大二郎相互啓発副委員長、また運輸サービス部会からの情報として、ホテル業界の広瀬氏、旅客業界の坂本氏、そして旅行業界の小宮氏からの発表もあった。講演後の質疑応答では、予定時間を超えるほど興味のある質問がかわされた。司会を務めていた平田事務局長からも、初めての交流会とは思えないほどすばらしい勉強会、そして交流会となったとの感想があった。
その後、バスでボタフォゴのレストランへ移動したが、連休前ということもあり移動には時間がかかった。また、昼食後の移動も渋滞はあったが、サンボドロモに立ち寄り、開会式・閉会式が行われるマナカナンスタジアムに到着した。2014年のワールドカップに合わせて完成したスタジアムで、最新のすばらしいスタジアムツアーができた。グラウンド、記者席、観客席を周るツアーは、これなら開会式・閉会式が問題なく行われると感じさせるものであった。ここでリオ現地集合組みと別れ、一行はマラカナンからガレオン空港まで移動したが、この道も渋滞でやはり余裕を持ったスケジュール作りが大切だ。
地区ごと、そして会場ごとに工事進捗状況はばらばらであったが、オリンピックは近づいているのだと実感できた視察会だった。なによりオリンピック開催を待ち望んで一生懸命働いている裏方の人達と現場にて意見交換をする貴重な体験ができた。カマラとしても、ブラジルで開催されるオリンピックを何とか成功させ、何か協力できることは行なっていきたい。インフラ整備の遅れは取り戻せるのか、また治安に関してはきちんと対策がなされているのか、確かに課題は残されている。しかし、みんなで力を合わせてリオオリンピックを成功させようとする気持ちが伝わってきた。カマラの会員同士の交流も深められたと参加者からの声も聞こえた。オリンピック開催はリオの次は東京、日伯交流にはまたとない大イベントだ。準備はまだ続いている。