セルソ・ミンギ
1年前に840レアル前後だったビットコインのレートが、2016年6月17日には2,900レアルに達した。国際的にこの種の資産に対する需要が拡大していることで、仮想通貨の中で最も有名なビットコインのレートは、5月には240%以上も値上がりするなど、さらに大きく変動した。7月1日には、2,283レアルで取引されている。
だが、こうした現象の原因を解き明かす前に、基本的な概念をおさらいしておこう。
中央銀行あるいは通貨当局が仲介することなく、ビットコインは仮想通貨としてのDNAを内在している。あなたが新聞を買おうと街角の新聞売り場へ行けば、現金を支払いお釣りもまた現金で受け取る。その価値の移転は即時的で、仲介者もなければ、売り場のオーナーと個人データを交換する必要もない。だが従来型の電子決済の場合、価値の移転と物品の調達は、クレジット・カードの番号や支払伝票などに依存する。この場合、少なくとも1人の仲介者と、常に売買の相手を識別する必要がある。「ビットコインは、インターネットの世界に、例えば物理的な20ユーロ札があるようなものだ。支払い方法は即時的で、匿名で、附帯的なコストも発生しない。どこにその人が居住しているかは関係なく、ビットコインのアドレスを生成する必要があるだけだ」と、仮想通貨の売買を仲介するブラジルのサイト、MercadoBitcoin.netのロドリゴ・バチスタCEOは言う。
中銀のように特定できるような公式の造幣機関は存在しない。コインは複雑な計算を解くことができるコンピュータの分散型ネットワークを通じて生み出される(マイニング)。パソコンがその処理能力を持っているかどうか、そしてその処理を継続する電気料金を負担できるかどうかだけの問題で、誰でもビットコインを「マイニング」できる。「マイナー」と呼ばれるビットコインの採掘人がビットコインを生み出し、ビットコインにより対価が支払われる。最初の4年は10分ごとに50ビットコインをマイニングし、その後、4年ごとに生産量が半分に落ちるようにシステムが設計されている。今、7月初旬の時点で、10分ごとにマイニングされるコインは25ビットコインから12.5ビットコインに減少しているはずだ。
このように、マイニングのペースが次第に鈍化するという見通しは、このところのビットコインの急激な値上がりの理由の1つと理解されている。
デューク大学で財政システムを研究するマルセーロ・プラテス氏は、別の角度から説明している。すなわち、中国における需要急増だ。「資金の流出阻止をもくろむ中国政府による資本統制は、世界のあらゆる場所に簡単に送金できる手段としてビットコインに対する需要をあおっているようだ」という。流通量がわずか(現時点で1,500万ビットコインと推定)なことで、集中的な取引はどのようなものであれ、この仮想通貨の価値を押し上げる。
もう1人の研究者、ゼツリオ・バルガス財団(FGV)のアルベルト・ルス教授は、市場の成熟と呼ばれる状況で説明しようとしている。同教授によると、煩雑な手続きが少ない分散した、匿名性の高い電子決済システムを利用者は歓迎する傾向にある。「現在の人々は、例えばクラウドファンディング(インターネットを通じた共同出資)など、仲介者を入れないオペレーションを好んでいる」という。
だが、支払い手段という通貨の3つの重要な機能の1つで、ビットコインの普及はわずかだ。一般に、仮想通貨を取り扱っているのは、一部のバーや宿泊施設、画廊など特定数に限られる。
同様に、匿名性と決済の素早さから、麻薬取引や資金洗浄などに関連した支払いに利用されていることにも留意するべきだ。そして金融当局の情報交換で先進国の政府間で合意が形成されるのに合わせて、不正な目的でビットコインの利用が拡大しかねない。
このように、仮想通貨は財とサービスの支払い手段として立ち上がってきたのではない。投資として、それも山師的な投資家のオプションにとどまる形で生まれた。さらに、送金手段として傑出している。ビットコインの全ての取引を登録し暗号で保護された巨大なデータ、ブロックチェーンと呼ばれる技術は、最近、「素晴らしいほどに安全な水準で」送金コストを削減できる可能性があると、イタウ・ウニバンコ銀行のロベルト・セトゥーバル頭取が「革命」と位置付けたほどだ。言い換えると、既に、このネットワークの良いところを利用しようと、大きな魚がネットに入り込んでいるということだ。執筆にはローラ・マイア氏から助言をいただいた。(2016年7月3日付けエスタード紙)









