産業競争力強化・中小企業育成WGとブラジル自動車工業会共催のドローバック制度セミナー開催

政策対話委員会(松永愛一郎委員長、ブラジル三菱商事)の産業競争力強化・中小企業育成WG(タケウチパウログループ長、ホンダサウスアメリカ)とブラジル自動車部品工業会(SINDIPEÇAS)共催のブラジルドローバック制度セミナーが、2016年7月27日午後2時から4時30分までインターコンチネンタルホテルに210人以上が参加して開催された。

タケウチパウログループ長は、ワーキンググループはAGIR活動を通じてブラジルの産業力強化と生産性向上のために会合を重ねており、技術革新やイノベーションの重要性が議論されてきていると語った。特に、海外研修などを含めた人材育成、古い設備の更新や投資意欲の促進、官僚主義で煩雑な手続きや税制の改善などについて、ブラジル政府との政策対話を行なってきているとした。輸出に関しては、顧客を見つけてもアジア諸国に勝つ競争力強化について、官民一緒になって解決策を議論していくことが必要になるが、本日のテーマは輸出施策の一つであるドローバック制度となっており、重要なテーマであると開会挨拶を行なった。

ブラジル自動車部品工業会のパウロ・ブトリ理事は、以前より輸出を手がける企業に勤めており今でも65%を輸出している。国際基準に到達する努力でどの国にも輸出をできる競争力をつけるには多大な努力が必要だと語った。また、為替や経済のアップダウンが激しい中、企業の苦労が耐えないと説明、ドローバック制度やReintegra制度など輸出施策は部品産業の競争力強化に非常に重要で、政府との対話は継続していく必要があるとした。自動車部品工業会では、専門的なセミナーや教育コースを通じて、従業員の人材育成にも力を入れており、今後もカラマと一緒に人材育成プログラムを促進していきたいとまとめた。

MDIC貿易局貿易業務部ドローバック担当貿易アナリストのマルセロ・ランダウ氏が紹介され、講演を行なった。マルセロ氏は、統合ドローバック制度には、保税方式と免税方式があり、製造、加工、組立、再生・改修、及び包装などのプロセスに適用できる制度であると説明した。総合保税ドローバック制度は、輸出を約束した上で、貿易局の審査を受けドローバック認可証(AC)を出され、輸入税(II)、工業製品税(IPI)、社会統合基金(PIS)、社会保険融資負担金(COFINS)、商船隊更新追加税(AFRMM)等の諸税の保留や輸入時に課税される商品流通サービス税(ICMS)の免除などが受けられる制度で、輸入部品の調達に対する免除のみならず、国内市場からの部品調達にも適合できると話した。保税方式の審査に関わる手続きの細かい説明が行なわれると、参加者から適宜質問が投げかけられ、講師が一つ一つ丁寧に応答しながらセミナーが進められた。中間ドローバックの改善、ドローバック制度における代替性の導入、また書類のデジタル転送ができるなど、徐々に使いやすい制度改善が行なわれていると伝え、トライアルエラーを通じて今後も制度改善を試みていくと語った。総合免税ドローバック制度は、申請の認可から2年前までの輸出実績を下に、同等の部類の在庫補充などの仕入れの際に、II、IPI、PIS、COFINS、AFRMM等の諸税の免税があり、ただしICMSの免税は含まれていないとし、申請がデジタル化され活用しやすくなり、払戻ドローバック制度に関しては、連邦国税庁(RFB)のサイトより事実上利用されていないとあると説明した。質疑応答では、参加者から実務上の細かい課題が挙げられ、ドローバック制度への関心と産業競争力強化に向けた意欲的な議論が交わされたセミナーとなった。

Pdf統合ドローバック制度(日本語)

Pdf統合ドローバック制度(ポルトガル語)

開会挨拶を行なう産業競争力強化・中小企業育成WGタケウチ・パウログループ長開会挨拶及び閉会挨拶を行なうブラジル自動車部品工業会パウロ・ブトリ理事

講演を行なうMDIC貿易局貿易業務部ドローバック担当貿易アナリストのマルセロ・ランダウ氏

熱心に講義に耳を傾ける参加者

セミナー会場の様子

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=42111