35人が参加して中南米知財セミナー開催

日本貿易振興機構(JETRO)サンパウロ事務所(大久保敦所長)主催による中南米知財セミナーは、2016年11月9日午後2時30分から3時30分まで35人が参加して開催した。

初めに日本国特許庁(JPO)調整課審査企画室の柳澤智也室長は開催挨拶で、中南米諸国は将来性のあるマーケットであり、日本進出企業が円滑に事業展開できるように、知的財産でのビジネス環境の整備促進のために率直な意見を聞きたいと説明した。

JETROサンパウロ事務所の岡本正紀 知的財産部長は、今年10月からJPOから派遣されて知的財産部を設立、当面の活動方針として、①遠い、②特殊言語、③欧米潜在市場、④治安(模造品問題)プラス関係省庁に働きかけてビジネス環境整備を進めるために、積極的な意見交換会やセミナー開催を予定していると説明した。

JPO国際協力課の松原陽介 課長補佐(地域協力第二班長)は、中南米における最近の知財の状況及び特許庁の取り組み」について、主要な中南米諸国における知財状況としてブラジル、メキシコ、アルゼンチン、チリなどの特許出願件数の推移、各国のINPI職員や特許審査官の人数や取組、特許審査の遅延状況について説明した。

また松原陽介氏は、知財制度・運用の課題として、ブラジルは審査官不足で平均遅延期間は10年と最も遅くてビジネス障害に直結、医薬品関連特許ではブラジル産業財産庁(INPI)の他にANVISA(国家衛生監督庁)による審査が必要で二重審査の現状を説明、10月の日伯貿投委で両国間での特許の審査協力の共同声明で署名、日本国特許庁(JPO)とブラジル産業財産権庁が主体で「特許審査ハイウエイ(PPH)」のワーキンググループを新設して二国間協力開始、2017年4月から「特許審査ハイウエイ(PPH)」の試行開始予定、ドシエ情報共有ネットワークでは、日米欧中韓の五大特許庁間でのドシエ情報の共有システムのワン・ポータル・ドシエ(OPD)の構築、OPDとWIPOのドシエ情報共有システム(WIPO-CASE)の参加国並びに拡大状況、中南米諸国から特許審査研修コースへの参加、日本から審査官派遣によるセミナー開催二国間のハイレベル対話などについて説明した。

柳澤智也室長は「特許審査におけるブラジルとの協力」について、「特許審査ハイウエイ(PPH)」システムの仕組み、フローチャート、アドバンテージ、中南米諸国における特許審査ハイウエイ(PPH)実施状況、ブラジルやアルゼンチンとのPPH実施予定スケジュール、早期審査の実効性、ブラジル産業財産庁(INPI)における分野別ファーストアトラクションの待機時間では最短の農業分野で平均9年、通信系分野の14年をPPH導入で短縮、日伯PPHの交渉経緯や今後のスケジュールなどについて説明した。

Pdfジェトロ・サンパウロ事務所知的財産権部の紹介

Pdf中南米における最近の知財の状況及び特許庁の取り組み

Pdf特許審査におけるブラジルとの協力~特許審査ハイウェイ(PPH)の実現に向けて~

左から日本国特許庁(JPO)調整課審査企画室の柳澤智也室長/JPO国際協力課の松原陽介 課長補佐(地域協力第二班長)

JETROサンパウロ事務所の岡本正紀 知的財産部長

 

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