第11回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会開催

経済産業省と商工サービス省(MDIC)は2017年8月30日、商工サービス省会議室にて、第11回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会(貿投委)を開催、日本、ブラジル両国政府、企業関係者が参加し、両国経済関係の強化に向け、貿易投資促進、インフラ投資促進、投資環境の改善、産業協力などを議題に活発な議論が行なわれた。

本委員会において、粟屋聡 ブラジル日本商工会議所政策対話委員長が、AGIR活動の進捗報告と本丸提言とされる労働、課税分野における改善提案等を具体的に説明、ブラジルの国際競争力強化と日系企業の進出支援に向け益々のMDICとの連携協力を要請した。

Pdf日伯貿投委プログラム

オープニング

産業貿易省 マルコス・ジョージ・デ・リマ次官)戦略的にも最も重要な国のひとつである日本とブラジルの連携は、2014年安倍総理大臣来伯を通して益々強化された。現在ブラジルは歴史的にも重要な時期にあり、財政歳出制限、労働改革と年金改革、将来的な税制改革といった諸改革を通じて構造再編成を行い、経済の柱を立て直す試みが進められている。

 産業分野でも大きな施策を計画中、例えば産業育成のための新自動車政策「ルート2030」により、国内産業の世界最先端技術レベルへの底上げ、更にはグローバルバリューチェーンへの参入を目指す。またブラジル生産性向上計画(Brasil Mais Produtivo)は、中小企業にリーン生産方式を導入し生産効率性の向上を図る施策である。石油ガス分野における資材とサービスのローカルコンテントに関する産業構造改革、海外市場アクセスへ向けては通関システムPortal Unicoの導入による脱官僚制、二国間そして多国間での投資協定を通じた投資誘致も積極的に行なっている。

 このような構造改革にも、日本は重要なパートナーであり、更なる投資や技術産業協力を通じて日伯間貿易の回復も期待したい。その投資機会の一つとしてPPIのコンセッションや民営化の事業があり、交通やエネルギーや上下水道事業など97プロジェクトで500億レアルの投資を予定。ブラジル経済回復期において、日本企業の投資チャンスも数多くあると考える。本日は企画省から新プログラム「アバンサ-ル」の概要説明、更に省庁の連携の例として、PPH協定締結など知財協力について、INPIとJPOから更なる協力関係についての発表も行われる。MDIC、JICA間で進められる電気機器リバースロジスティクスの技術協力や電子機器のリサイクルなど廃棄後の処理方法、また省エネ分野ではMME、ANEEL、CNI、サンパウロ州、ABRASEなどと連携する日本エネルギー保全センターの協力、日本でのソサイアティ5.0の推進による技術革新、ブラジルインダストリー4.0の中長期戦略や行動計画、といった新技術での連携も期待の大きい分野である。本日の会合の成果が二国間の協力強化に繋がるものと期待する。

ブラジル日本国大使館 山田大使)日伯経済関係を振り返るとUSIMINAS、ALBRAS、CENIBRA、ISHIBRASなどの日伯共同プロジェクトに代表されるようにその確固たる協力関係が現在も続いている。ブラジルには700以上の日本企業が進出、これからまだ増える余地があり、その為にもビジネス環境整備や進出企業支援に力を入れていく考えである。日本企業の活躍は、USIMINASなどのようにブラジル経済の成長と社会の発展に役立つものである。ブラジルには2週間前に着任したばかりだが、それ以前に駐在したメキシコでは、日メキシコEPAが締結されており、両国間でビジネス環境改善のための定期的な会合。日本企業からの要望が次々と実現され、結果として日本企業の進出を促進、900社を超えることとなったが、ブラジルにはそれと同等あるいはそれ以上の結果が可能と考える。巨大な消費市場、伝統的な産業基盤、更に豊富な資源などブラジルは大きなポテンシャルを持つ。本日の会合で、官民双方がそれぞれ問題定義と解決に向けた議論をすることによって、日伯の新たな産業協力へ繋げることを期待する。

1:日伯貿易投資促進

経産省 中川審議官)経産省 中川審議官)4月に開催した中間会合でインフラ分野での投資促進、投資環境の向上、市場アクセス、産業協力について議論を行った。本日は、各議題について更なる前進に向けて、いつまでに誰が何をするのかといった具体的な提言を意識しつつ議論を進めたい。日本の技術力を活用したブラジルの生産性の向上、ブラジルの資源力を活用した日本産業の競争力強化に焦点をおいて、相互補完のある具体的なプロジェクトの形成を進めていきたい。

経団連 大前孝雄 経団連日本ブラジル経済委員会企画部会長)

 貿投委に先立ちクリチバで開催した第20回日本ブラジル経済合同委員会の概要を報告する。本年4月に開催された第7回日伯賢人会議で①日伯経済連携の強化、②産業競争力の強化、そして③ロジ・インフラという3つの優先テーマを中心に議論がなされ、その結果を踏まえながら今回日伯経済合同委員会で深掘りの議論が行われた。

 「日伯経済の現状と展望」のセッションでは、ブラジル側より「ブラジル経済は資源価格の低迷等により、2年連続のマイナス成長や厳しい財政状況が続いていたものの、テメル政権下の労働改革をはじめとする一連の経済政策が効を奏し、本年はプラス成長が見込める」という、我々日本経済界にも心強い見解が示された。また日本側からは、5年半にわたるアベノミクスの成果や現状を紹介するとともに、ブラジルインフラ分野への日本企業の投資拡大に向けた金融支援における「官民の役割分担」等につき興味深い提案が行われた。

 「貿易および投資」のセッションでは、日伯経済関係の拡大には、その基盤として経済連携協定の推進が不可欠であるとの認識が改めて共有され、日伯経済界双方の同意により、日本/メルコスールEPAという新たな枠組みでの早期交渉開始を両国政府に働きかけるため、2年前に経団連とCNIがとりまとめた「日伯EPAに関する共同研究報告書」を次回経済合同委員会までにアップデートすることで合意された。日伯経済界としては、引き続き両国政府に対し両国経済関係の更なる発展に資する経済連携協定の早期実現を求めて参り、両国政府の理解ご尽力をお願いしたい。

 続く「ビジネス環境整備および今後のビジネス機会」のセッションでは、ブラジル側から、各種投資インセンティブや投資誘致を目指す産業分野が紹介され、日本側からは、自動車産業を例に、発展目覚ましいメキシコとコスト比較をしながら、競争力強化に向けては道路・港湾等物流の効率化、税制簡素化等、いわゆるブラジルコストの削減に繋がる抜本的な取り組みが不可欠との提言がなさた。また、ブラジル日本商工会議所がここ4年間に亘り推進しているAGIR(アジール)の最近の活動状況も報告され、ブラジルコストの改善やブラジル産業の国際競争力強化に向けて、日伯産業界相互の協力関係を一層強化していくことが望まれる。

 「産業戦略および政策」のセッションでは、日本側より「Society 5.0」の取組み、またブラジル側からは「Industry 4.0」等の取組を紹介、「農業およびインフラ整備」のセッションでは、穀物輸送インフラ及び都市交通インフラの二つのロジ・インフラ分野につき、日本企業の投資拡大に不可欠な具体的提言および要望がなされた。ロジ・インフラの整備が「ブラジル・コスト」を削減する上での最優先課題であり、多くの日本企業も投資し穀物生産・販売事業を活発に展開する北部4州マトピバ地域並びにマトグロッソ州東部地域の開発へ、ブラジル側でも重要度・優先度が高いことが確認された。

 また、「都市交通インフラ」では、BNDESの長期ローカルファイナンスの欠如により1年近く工事が中断するサンパウロ地下鉄6号線案件での教訓を踏まえ3つの提言がなされ、日本企業の投資促進へ向け、今後ブラジル側が具体的施策が強く望まれる。最後の「天然資源およびエネルギー」のセッションでは、ブラジルの豊富な農産物を活用したバイオ・エネルギー分野の展望はじめ、高効率石炭火力発電や海流発電、グリーンファイナンス等、環境に配慮した資源・エネルギー分野での取り組み事例が紹介され、日伯両国が協力方策を模索することの重要性が確認された。

 以上、第20回日伯経済合同委員会の報告とさせて頂く。

椋田 哲史(経団連専務理事)

同委員会で日本側参加者より提起されたビジネス環境の改善に関する指摘をいくつか紹介すると、日伯間貿易・投資拡大のため経団連とCNIによる一昨年の日伯EPAに関する共同報告書をアップデートすることが合意されたが、日・メルコスルEPAの早期実現を求めていくこと、併せてビジネス環境整備を目的とする法的枠組みの確立が重要であるとの指摘があった。またウジミナス社の経営については、規制当局による安定した法制度の運用や、行政手続きや迅速な司法救済を求める意見があった。

 加えて、インフラ整備の促進では、PPPやコンセッション案件における為替リスク、あるいはファイナンスリスクなどについて、官民の適切な役割分担を可能とする仕組み、それを支える金融制度や公的枠組みの拡充が求められ、技術や品質が正当に評価される制度の導入が重要であるとの指摘があった。

その他議論【省略】※日伯経済合同委員会の報告については、ディエゴ・ボノモ(CNI貿易担当マネージャー)氏による説明も行なわれた。

2:インフラ投資促進

企画省ブルーノ・メリン インフラ金融調整官)

プログラム・アバンサールの事業は3つの柱にわかれ、1)道路、鉄道、空港、港などの交通、2)防衛とイノベーション、3)住宅、上下水道、都市交通となっており、これら事業の民営化を進めている。大都市間における交通網を充実させ、ロジスティクスコストを削減すること、更に事業のデジタル情報化などイノベーション革新と技術移転を実現することも目的としてある。道路では、マトグロソ州とパラ州間の国道163号の舗装事業、ミナス州の国道381号の複線事業、サンパウロ州のロドアネル道の整備などがそれである。鉄道は、北南鉄道、またバイヤ州でイレウス港とカイチテ鉱山と東西を結ぶ鉄道、11の水路は、空港は、例えばほぼ完成しているビクトリア空港、都市交通としてサルバドールの地下鉄もある。2018年までに事業を完工させ、また同時に民営化以降の事業も推進する予定である。

その他議論【省略】

3:投資環境の向上(AGIR事業)

粟屋政策対話委員長)本年度のAGIR活動の進捗、活動方針について説明する。ブラジル産業の国際競争力強化やブラジルコスト改善を通じ、日伯両国間の貿易投資の拡大を目的とした政策提言を行なう活動であり、今年4年目を迎え、企業による経済活動により直接的に影響する労働・課税を本丸提言として政策対話に取組んでいる。

 労働分野については、今回の労働法改正により1943年制定統一労働法(CLT)が刷新され、ブラジルのビジネス環境が近代化する方向の改正となった。「フレキシブルな労働時間」を始め、「休暇の分割取得」、「労働時間に含まれる通勤時間の基準見直し」などAGIR提言と共通する項目も含まれている。AGIR活動では安定雇用実現や柔軟な人事管理制度も掲げており、今後の活動としては、CNIの労働問題担当部門とも連携し、政府当局から協力も賜り当会議所の会員企業を対象としたセミナー等を実施、e-Socialの運用等についても取り上げていきたい。

 続いて、課税分野については、1.税制の簡素化・納税者の保護、2.ICMS制度の見直し、3.移転価格税制の国際標準化の3つを課税分野での本丸提言としている。

 会議所課税WGが今年6月会員企業を対象に、ブラジル税制に関するアンケート調査を実施。回答した企業の実に7割超が、「納税処理に関する経費負担」をブラジルの税制度の問題点として挙げている。また、CNIが行ったブラジル一般企業を対象に実施したアンケートの結果においても、上位の回答は、会議所アンケートの結果とも一致している。国籍を問わずブラジルにおいて経済活動を行う企業の多数が共通する問題として、多種、煩雑な納税システムを課題として指摘していることがわかる。一方、今月に入り、メイレイレス財務大臣がブラジルのビジネス環境の生産性向上へ向け、税務処理時間とコストの削減のためデジタル帳簿システム(SPED)の機能強化、税務申告手続きの簡素化などの施策を発表。ブラジル政府レベルと民間の問題意識が共有され、同じベクトルで改善に向けて取り組んでいることがわかる。

 ICMS税、特にICMSクレジット残については、クレジットの移転や特別レジーム等を活用した解消策があるものの、申請手続きに掛かる煩雑な手続きが納税者にとっての大きな負担となっている。本年度の活動では、相殺制度の実効性の確保、実務上の問題点改善に留まらず、州間税率の統一という根本的改善策へも踏み込んでいきたい。併せて代行納税制度についても見直しを求めていきたい。またICMS税は州政府管轄となるので、適切なカウンターパートの選択、対話チャンネルの構築の上、実務者間での協議の機会を増やす考えである。

 3番目に移転価格税制について、OECDガイドラインに準拠した移転価格税制を導入し、世界標準へ移行される事を提言していきたい。AGIR活動としても、何らかの貢献を行い、ブラジル財務省主導による税制改革が、単なる納税システムの簡素化に留まらず、国全体に健全な循環をもたらす税制度へと変革してゆかれることを期待している。

 現在、ブラジルは景気回復へ向けた努力を重ね、その為には官民外資のボーダーを越えた協力関係が必要であり、当会議所としてもブラジルの産業・社会の骨子である税制、労働環境の改善へ引続き貢献して参りたい。政策提言に取組み、ブラジルの産業競争力強化、ひいては日伯間のビジネスチャンス拡大に結び付けてゆきたいと考える。

イゴー局長)税務の簡素化は、ブラジル政府としても、重要課題としてビジネス環境改善に取り組んでいる。メイレイレス財務大臣も、業務にかかる時間の短縮や税制改革を行い海外からの投資誘致のためのビジネス環境改善は重要だとの考えを持っている。

労働省アドミルソン・モレイラ・ドス・サントス大臣官房長代理)テメル大統領が昨年改正法案を国会に提出し、法令13.467号が成立、これを労働改革や労働近代化と呼び11月11日に施行される。本会合ではより概要的な改革の説明を行なう。

 今回の労働法改正では、労働組合と企業による団体協定の合意が法的優位性を持つことになり、勿論交渉不可能な憲法にて守られる労働者の権利もあるが、団体交渉の重要さが増すことを意味している。団体協定での合意が法律より優先されつつつ、また特定の従業員、例えば、大卒以上で、最低年金額の2倍である3500レアル以上の労働者については個別交渉が可能で、その合意もまた法律より優位性を持つ。

 ある一定希望以上の企業内には労働者代表委員会の設置が義務付けられ、団体交渉において労働者代表が直接労使交渉を行うことで、労働者ニーズを企業側が聞き入れやすくなる。

 また別の変更点として、OECDルールに基づき、従来パートタイムが残業なし週25時間であったのが、2つ契約形態の選択ができるようになる。残業なしの週30時間、又は、26時間で6時間の残業。またILOルールに沿って、休暇については3回への分割が可能になる。また、テレワークの定義付け明確化、断続的労働の可能化による仕事のない期間の報酬義務が取り除かれる、精神的損害の定義と罰金の規定、等細かな点がある。

 また11月からは、組合費支払いが義務から合意があった場合のみに支払うこととなる。また今までの退職では、労働者が自主的に辞める場合と、会社から解雇される場合があったが、今後は労使合意により辞職や解雇をすることが可能となり、合意を通して解雇による罰金の軽減や自主的に辞職する場合でもFGTSの引き出しが可能になる。また最後に、解雇について、今までは1年以上勤務をした労働者は組合で解雇手続きをする必要があったが、今後は不要となり企業と直接交渉を行う。改革について概要を説明させて頂いたが、更に明確したい点があれば労働省へ連絡して頂きたい。

マルガレッチ部長)ROTA 2030プログラムは、幅広い産業が集まり、数々の輸送機器に関する製造業のみならず、輸送ロジスティクス業全般にわたっているが、本日は製造業について説明する。4月より、1.自動車部品サプライチェーン再構築、2.技術開発、生産技術、3.エネルギー効率、重軽自動車、4.安全技術、技術検査、5.少量生産ブランドや電気自動車、6.競争力のあるコスト構造、6つのグループに分かれ、官民合同で議論をしてきている。

 産業に関して、技術、エネルギー、安全など、海外との連携も取りながら、5年限りではなく、5年3サイクルで目標を立てるが、常時評価しながらの長期政策を取っている。自動車産業は、現在厳しい状況で、生産のアップダウンが激しく、部品産業では、財政が非常に厳しく、設備の近代化への投資、技術の導入の課題があり、議論をしているところである。現在のところ4つの施策を考えている。1つ目はAGIR提言にもある税の簡素化である。2つ目はの技術開発とイノベーション、3つ目の安全性とエネルギー効率、4つ目は競争力強化と生産性向上である。他省庁との連携も大切で、エネルギー目標はPROCONVEの協力、バイオエネルギーに関してはRenovaBio、PADIS、Brasil Mais Produtivoなど、長期の視点で、他省庁との連携を行なっている。

平田事務局長)今日は人生で一番喜ばしい日である。以前より、この様な会議の席上、ジャポネス・ガウショであったり或はガウショ・ジャポネスになったりとかで行き通いながら話して来ている。現行の労働法(CLT)が成立した1943年は、ガウショのジェトリオ・ヴァルガスが大統領の時だ。また昨年暮れ12月22日には、同じガウショのロナウド・ノゲイラ労務大臣が、クリスマス・プレゼントとして発表した労働改革法案は、カマラの提言項目を大幅に上回る改正に至っている。私はまさしく労働法の近代化法案と言いたい。今年の7月中旬には国会を無事通過し、11月中旬から施行に入ることになる。ブラジルの新たな労働環境変化の歴史の一章が始まる。昨年10月の日本の東京会議で、マルガレッチ氏が、カマラの本丸提言に対し、心配する必要は無い、テメル政権では既に具体的に労働法改革が提案されている!という力強い言葉をもらいブラジルに戻って来た。そして実際に国会を通過するまでに至った。私がブラジルに50年移り住んでいる中で、一番嬉しい日となった。またアジミルソン氏の詳しい説明を聞いて、更に嬉しくなった。ここにお礼を申す。先ほど、マルガレッチ氏より、ROTA 2030における税の簡素化の発言もあり、マルガレッチ氏の言葉が、メイレイレス財務大臣、大統領まで届き、やがて必ず実現すると思っている。ブラジルではこれから様々な改革にチャレンジして行くでしょう。そこで一つお願いがあるが、是非とも法的安定性を確保して欲しい。弁護士の間での法解釈の違い、判事の間でも解釈の違いが生じることもあるので、新しい法律の下ではもっと立派な体系的な改革を望んでいる。山田大使の言葉にもあったように、構造改革が起これば、それだけでも日本から進出企業が増え、またその他海外からの企業進出もさらに増えることは間違いないと信じている。

イゴー局長)今回の労働法改正はブラジルが正に必要としていた改革である。本日の会合でのフィードバックは労働大臣にも伝えたい。この改革を通してブラジルの生産性が向上していくことを願う。

古本課税WG長)まずはブラジル政府の努力にお礼を述べたい。マルガレッチ氏へ課税についての質問をしたい。ディストリビューター販売の際の税務恩典については、連邦税か州税か。

イゴー局長)連邦税だけだ。

古本課税WG長)質問は、まさに州税についてで、州税のビジネスへの弊害が大きい。州税についての簡素化等についても改善を検討していただきたい。

イゴー局長)我々も課題は認識しておりCONFAZとの議論は行なっている。連邦国で州との議論は欠かせない。

中川審議官)労働法改正やROTA 2030プログラムにおいても、我々の議論を踏まえて大きな進展があることを高く評価したい。今回、AGIR活動については、5つのワーキンググループのうち、労働と税制に絞って政策提言の説明をしてもらった。労働分野では、賃金のルール、継続的な雇用に向けた方策、税制の簡素化や移転価格税制についての提言があった。こうした中で、我々として高く評価したいのは、AGIR提言において直接ブラジル関係当局と初めて意見交換会を得られる機会があり、ブラジル側の努力を評価し、感謝したい。労働法改正、ROTA  2030の発表と続いたが、AGIR提言を含めて、各省庁の範疇で改善に協力出来ることがあるか考えて行く。これからもブラジル側との議論を深める上で、AGIR活動やブラジル関係省庁の意見交換の場を作れるような協力をお願いしたい。

4:産業協力

知的財産協力について、日本企業を代表する機関である商工会議所へも今後ワークショップの開催などで協力を要請したいと述べたエレン・デ・ファチマ・サンパイオ(INPI調査官)氏と水野邦洋(特許庁国際協力課国際情報専門官)氏による説明が行なわれた。

自動車分野のバリューチェーンにおける「リーン生産方式」に基づく協力について、ジョアン・エミリオ・パドヴァニ・ゴンサルベス(CNI産業政策部長)氏よりプレゼンが行なわれた。

バイオ燃料分野における協力について、ディエゴ・ボノモ(CNI貿易担当マネージャー)氏およびペドロ・ミズタニ(RAIZEN副社長)氏による説明が行なわれた。

ブラジルにおけるJETROの活動の説明をジェトロサンパウロの大久保敦所長より、また産業開発分野におけるJICAの活動についてJICAブラジリア斉藤顕生所長により行なわれた。

タイスZPE局長)ZPE技術者がJICAの研修に参加したことがあり、JICAの協力に感謝し、協力体制を継続していくことを望んでいる。また、カマラとJETROのZPEに関する協力にもお礼を述べる。7月に事務局がペセンZPEを訪問し、今後もこのような継続した活動を協力して行なうことは、日伯両政府にとって重要であると考えている。

パウロタケウチ産競WG長)カマラの産業競争力強化・中小企業育成WGに関わる議題で、ジョアン・エミリオ氏のプレゼンにあったBrasil Produtivo計画について、自動車部品産業も含まれることの重要性を感じている。Brasil Mais Produtivo計画が開始された際には自動車部品が含まれていなかったが、ROTA 2030も最終段階にあり、Sindipecasからの要望があるように、自動車部品に関わる全ての産業に拡大して欲しい。自動車産業として、RAIZENのペドロ氏のコメントにも共感をし、エタノールエネルギーに自動車産業は多くの投資をしている。二酸化炭素ガス削減による恩典を考慮し、ブラジル発祥のエタノール技術は、ノウハウも含め重要で、ROTA 2030にも関係してくる。わが社の車のモデルは、エタノールエネルギーを十分活用できるように製造されている。

平田事務局長)タイス局長の参加に感謝する。企業経営者のときに悩みを打ち明けたこともあり、その課題解決の突破口は、ZPEではないかと議論してきた。その当時2014年は、ブラジルが一次産品に頼り貿易赤字を作った年だ。去年、フルラン次官が東京の会議に参加した際にも、ZPEを何とか成功させると約束をしてきた。昨年6月にはタイス局長が、10月にはサンタナ・セアラ州知事に、会議所の昼食会にも参加をしていただき、6300ヘクタールの巨大なZPEについて話をしてもらった。昨年11月には、ブラジルの日本進出企業、また日本からの進出企業ミッションを組んで視察会をするならそのフォローをすることを常任理事会で約束している。カマラ担当委員会となっているのが相互啓発委員会で、当時は粟屋現政策対話委員長が委員長を勤められ、現在は住友商事の富島委員長となっている。今後も、JETRO、経産省、MDICと協力して支援していく。

イゴー局長)CNIとタケウチ氏による要望については、進展があり、12000企業を対象とし、自動車部品産業も含まれる。実現に向けてはMDICとしても協力を惜しまないが、デジタル化やインダストリー4.0についての評価についての進展も必要がある。現在進展中のROTA 2030にも関係しており、長期の政策として期待している。

5:クロージング

中川審議官)クロージングと感想を述べてまとめる。産業協力のセクションで充実した議論ができたことを嬉しく思う。前回の中間会合で、ガンディ二部長と話した際の、我々からの大きなメッセージは、産業協力のセッションを充実したい考えがあった。今回はいろいろな提案があり歓迎したい。知財のPPHが進んでいること、JETROとJICAが今まで何をやってきたか、これから何ができるかを含んだ説明があったこと。特に自動車産業は、日本のものづくりが一番現れる分野であり、一つでも多くの成功事例を作っていきたい。次回の会合までに議論を深めていきたいと思う。ブラジル側、そして日本側の関係者の協力に感謝をしたい。

イゴー局長)私としても皆様に感謝を述べる。具体的なプロジェクトを進めていくことができることを望んでいる。日伯の貿易は少し落ちているが、良くなると信じており、貿易の拡大、そして投資拡大につなげていきたい。次回日本で会えることを期待している。

(Fotos: Washington Costa/MDIC)

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