ブラジル国内の経済リセッションからの回復の遅れや不透明感が増加する10月の大統領選挙、ブラジルの年金ファンドの逃避などの要因で、海外投資家によるブラジル国内の金融投資環境が悪化している。
しかしプライベート・エクイティファンドは、不透明感が増加する10月の大統領選挙にも関わらず、ドル高の為替並びに下落しているサンパウロ平均株価(Ibovespa)などの要因で、プライベート・エクイティファンドのPatria社並びに Bozano社、 Stratus社、 Vinci社、 Kinea社の大型投資が予想されている。
今年のプライベート・エクイティファンドによるブラジル向け資金調達は35億ドル~37億ドルが見込まれており、2014年の44億ドルに次ぐ資金調達が見込まれている。昨年のブラジル向け資金調達額は15億ドル、2016年は僅か7億ドルであった。
50人以上の大型投資家が出資するプライベート・エクイティファンドのPatria社では、ブラジル向けに23億ドルの資金調達を予定、今年1月には4億8,400万ドルの資金調達に成功している。
イタウー銀行傘下Kinea社では、海外で3億ドルの資金調達を予定、またBozano社では、ブラジル国内の高額所得者や資産家ファミリーを中心に3億ドルの資金調達を予定している。
Stratus社は、すでに1億5,000万ドルの資金を調達、また6月には2億5,000万ドル~3億ドルの資金調達を目的にヨーロッパ各地で投資家を勧誘している。Vinci社は2017年に5億ドルの資金を調達したが、今年末までに8億5,000万ドルの資金調達を目指している。
大半のブラジルの年金投資ファンドは投資を停止しており、また海外投資家は新興国、特に中国向け投資に傾いているとプライベート・エクイティファンドのSpectra社のRicardo Kanitzパートナーは指摘している。
今年上半期の新興国向け投資が僅か70億ドルと昨年同期の140億ドルの半分まで減少、2013年以降では最低の投資額まで減少している一方で、経済好調な米国に投資が集中している。
昨年の米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメント社は247億ドルの資金調達、Silver Lake社は150億ドル、 KKR社では140億ドルの資金を調達している。(2018年7月10日付けヴァロール紙)