エンブラエル社は、英国のファンボロー空港で7月16日~22日まで開催中の世界最大規模の航空ショー「ファンボロー国際航空ショー」で、早くも300機以上のリージョナル・ジェット機の受注に漕ぎ着けている。
「ファンボロー国際航空ショー」前半の今月16日から20日は、航空業界向けのトレードショー、後半21日と22日は一般向け公開日となっているが、エンブラエル社は16日並びに17日の2日間で、確定発注額並びに購入権額を合わせて150億ドル以上の成約に達している。
ボーイング社のライバル会社であるエアバス社は、昨年10月にエンブラエル社のライバル会社のボンバルジィア社と提携、座席数が150席までのリージョナル・ジェット機市場に参入していた。
しかし今年7月初めにエンブラエル社とボーイング社は、戦略的パートナーシップ構築を念頭にブラジル国内に商用機製造を目的とした資本金が48億ドルのジョイントベンチャー企業設立を発表、出資比率はボーイング社が80%、エンブラエル社は僅か20%の構成となっている。
航空機業界関係者は、今後20年間の座席数が150席までのリージョナル・ジェットの需要は1万550機、総売上6,000億ドルに達する大きな需要が見込まれている。
リージョナル・ジェット市場は今後、エアバス並びにボンバルディア、ボーイング並びにエンブラエルのジョイントベンチャー企業に集約されると航空業界関係者は予想しており、この2社以外は更なる苦戦を強いられると見込まれている。
現在の座席数が150席までのリージョナル・ジェット市場の60%は、エンブラエル社が占めているが、ボンバルディア社とタイアップしたエアバス社は、ボンバルディア社の座席数100~150程度の「Cシリーズ」の改良機A220型リージョナル・ジェット機の市場投入で、マーケットシェア50%占有を目指していると宣戦布告している。
エンブラエル社は、今月16日にユナイテッド航空と25機のE175型機 の確定発注を発表、17日にはアズールブラジル航空と総額が13億ドルに達する21機のE195-E2型機 の確定発注を発表している。
またエンブラエル社は、米国資本のリパブリック航空との間で、総額が93億ドルに達するE175型機100機の確定発注と、E175型機100機の購入権について合意書に署名している。
エンブラエル社は、総額が13億ドルに達するクエート資本のWataniya Airwaysと10機のE195-E2型機 の確定発注並びに10機の購入権獲得で合意、E195-E2型機の2020年から開始予定となっている。
また同社は、モーリタニア航空と総額が9,380万ドルの2機のE175型機 の確定発注、非公開でスペイン資本と予想されている航空会社と総額が3億4,200万ドルの5機のE195-E2型機の確定発注並びに2機の購入権獲得で合意している。
エンブラエル社は、スイス資本のHelvetic Airwaysと総額が15億ドルの12機のE190-E2型機の確定発注並びに12機の購入権獲得で合意、またNordic Aviation Capitalと総額が1億5,600万ドルの3機のE190型機 の確定発注を獲得している。
一方ライバルのエアバス社は、米国資本の2社のリージョナル航空会社との間で総額が110億ドルに達する120機のA220機の確定発注の成約で凌ぎを削っている。
先週エアバス社は、エンブラエル社の長年のリージョナル・ジェット機の顧客であった米国航空会社5位のJetBlue社と60機のA220機の確定発注を発表していた。(2018年7月18日付けヴァロール紙)