5年間継続した輸入自動車に対して30%の工業製品税(IPI)を課していた自動車技術革新政策(Inovar Auto)の2017年12月31日の終了に伴って、輸入自動車の増加傾向が続いている。
2018年上半期の輸入自動車は、レアル通貨に対するドル高傾向の為替にも関わらず、前年同期比55.0%増加の20億ドルに達していると商工サービス省(MDIC)では発表している。
また今年上半期の輸入自動車台数は、前年同期比41.0%増加の11万5,092台に達しており、特にルノー並びにシトロエン、プジョーブランドを抱えるフランスからの輸入自動車は、8,353%増加に相当する3,297台を記録している。
フランスに次いでVolvo本社のスエーデンからの輸入自動車は760%増加に相当する1,746台、3位にはウルグアイからの輸入自動車は、432%増加の1,023台を記録している。
全国自動車工業会(Anfavea)の発表によると、自動車技術革新政策(Inovar Auto)施行前の2011年の輸入自動車のブラジル国内のマーケットシェアは23%であったが、昨年は10%前後で推移、今年は15%前後まで上昇するとAnfaveaでは予想している。
しかし輸入自動車の中でもブラジル国内で製造していない高価格で高付加価値のSport Utility Vehicle(SUV)の需要拡大に伴って、輸入SUV車は増加傾向とAnfaveaのアントニオ・メガレ会長は指摘している。
今年上半期のアルゼンチンからの輸入自動車は、前年同期比47%増加の4万7,960台、2位はメキシコの42%増加の2万9,156台、日本は63%増加の7,866台、韓国は12%増加の5,588台、ドイツは16%増加の5,059台、中国は16%増加の3,533台、米国はマイナス45%の2,755台、ハンガリーは43%増加の2,344台となっている。
自動車技術革新政策(Inovar Auto)施行が開始した2013年上半期の輸入自動車台数は28万4,613台、2014年24万5,717台、2015年17万3,352台、2016年8万9,349台、2017年は8万1,370台と5年連続で前年同期を下回ったが、今年上半期は一転して11万5,092台と上昇に転じている。
自動車技術革新政策(Inovar Auto)が世界貿易機関(WTO)から国際貿易協定に違反しているとされた問題で、これを置き換える新たな政策案Rota2030を今年1月1日からの実施が予定されていたにも関わらず、テメル大統領は、漸く今年7月5日にInovar Auto 政策に替わるROTA2030に関する暫定法に署名した。
2013年~2017年の5年間実施されたInovar Auto 政策では、70億レアルを投資して国内自動車メーカーの生産能力を引き上げた一方で、自動車に関するテクノロジー改善や国産メーカーの競争力強化にはつながらなかった。
ROTA2030プログラムでは、技術革新を進めるP&Dに対する投資クレジットに対して、年間50億レアル以上の投資を行う企業に対して、10.2%~12.0%の個人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)のクレジット割引が可能となる。
またROTA2030プログラムでは、安全性とエネルギーエフィシエンシーを達成した自動車メーカーに対して、2023年から工業製品税(IPI)が1.0%~2.0%が引下げられる。(2018年7月19日付けヴァロール紙)