ブラジルのCDS指数は不透明な大統領選挙を控えて2倍に増加

今年9月のブラジルの社債や国債、貸付債権などの信用リスクに対して、保険の役割を果たすデリバティブ契約のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、282ポイントと今年1月の140ポイントから2倍に増加している。

10月の大統領選挙を控えて、2次決戦投票まで縺れ込むのは避けられないにも関わらず、極端な右派や左派を含めて大統領候補者5人の可能性があり、国内外の金融市場関係者は、大統領選挙の行方をかたずをのんで見守っている。

8月13日アルゼンチン中銀は一挙に5.0%の政策金利引き上げて、年利が45%で世界最高の高金利国になっていたが、同月30日にもトルコの通貨危機が飛び火した影響で、更なるアルゼンチンペソの暴落防止対策として政策金利を一挙に15%引上げて、60%に決定した余儀なくされていた。

現在のアルゼンチンのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は700ポイント、トルコも500ポイント前後で推移して、ブラジルのリスクを大幅に上回っている。

2008年に国際的な格付け会社フィッチ・レーティングスは、ブラジルのソブリン格付けを1段階引き上げ、投資適格級のBBBマイナスとして、スタンダー ド&プアーズ(S&P)に続いて投資適格級に格上げしたブラジルのCDS指数は100ポイントまで下げていた。

第2次決戦投票が確実な大統領選挙の行方次第では、282ポイントのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)指数は更に上昇する可能性があるが、大統領選挙後のCDS指数を下げる要因として、GDP比80%近くに達している対内公的債務残高を新興国の平均であるGDP比50%まで下げる必要がある。

米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は、イエレン元議長在任の2015年12月から金利を上げ続けている影響で、新興国で資金流出して問題になっているのは、アルゼンチン、トルコ、南アフリカ、ブラジルが大きな影響を受けている。

米国金利上昇で新興国の通貨は下落を続けており、今年のアルゼンチンペソはドルに対して103%下落、トルコ68%、ブラジルのレアル通貨はR$3.20からR$4.10と24.5%も下落している。

次期大統領は初めに海外投資家のブラジル信用回復として、年金・恩給改革に着手しなければならないと元中銀理事でMaua Capital共同経営者のルイス・フェルナンド・フィゲイレード氏はコメントしている。

2002年の大統領選挙中のブラジルのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、外貨準備高は僅か370億ドルで4,000ポイントに達していたが、現在の外貨準備高は10倍以上の3,800億ドルで、海外の金融ボラティリティに充分対応できる。(2018年9月13日付けエスタード紙)

 

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