日伯法律委員会(藏掛忠明委員長)主催のセミナー「ブラジル競争法上の調査案件に関する重要論点と近時のトレンド」は、2018年9月25日午後4時から6時までMattos Filho, Veiga Filho, Marrey Jr e Quiroga Advogados会議室に20人以上が参加して開催、進行役は清水 マサオ ワルテル副委員長が担当した。
セミナーは、Mattos Filho弁護士事務所のマルシオ・ジアス・ソアレス弁護士並びにミッシェーリ・マシャード弁護士が英語、 アンダーソン・毛利・友常法律事務所東京オフィスの角田太郎弁護士が日本語で解説した。
ブラジル競争法上の調査案件に関する重要論点と近時のトレンドのアジェンダの近時の著名案件からの教訓では、日本の公正取引委員会に相当する経済擁護行政委員会(CADE)の組織や役割、他の当局との連携、カルテルに対する取締、課徴金事例、ブラジル国内外でのCADEの権限、カルテル行為とみなされるセンシティブ情報交換、リニエンシー及び和解契約を説明した。
競争法コンプライアンスの重要側面では、競争法違反行為のもたらす結果として企業や個人に対する責任、処分、懲役や課徴金、リスク防止、効果的な実践方法、テーラーメイドプログラムを説明。ディストリビューション契約と競争法上の懸念を最小化するための最善方法では、リスク行動並びにベストテンプラクティス、通常の懸念、リスク領域、推奨される対象を説明した。
ドーン・レイズ(Dawn Raids)‐何をすべきか、すべきでないかでは、証拠書類の発見目的のCade及び警察が行う予告なし立入検査、Cade捜査官による会社の敷地内捜査、関連文書の押収、記録媒体及び機器の押収、ドーン・レイズ中の立入禁止。ドーン・レイズ中の捜査協力として、捜査官に随伴する職員の指定、コピーや欧州書類・ファイル記録の写し及び質問及び回答の記録、会社のITシステムアクセス支援及び監視のためのIT担当者の関与。すべきでないことでは、捜査妨害、書類の破棄や隠匿、虚偽や誤解を与える情報提供、職務の範囲を超えた回答、弁護士の許可なしの書類へのサイン、当局が封鎖した場所への立入などについて説明した。
私的執行では、競争法によって損害を受けた企業あるいは個人の救済目的の損害賠償請求提起。競争法違反による損害に対する集団訴訟による救済、損害賠償請求は、Cadeによるそれ以前の捜査とは無関係に実施可能、ブラジルの民事請求は未だ黎明期で不確実な時効、損害額算出に対する証拠及び参考書類へのアクセス、リニエンシー及び和解関連資料へのアクセス規定などについて説明。質疑応答では、20%以上のマーケットパワー、ディストリビューション契約、Cadeによる本社と子会社の異なる価格捜査、抱き合わせ商法、一括販売、違法ジョイントベンチャー契約などが挙げられた。
左からMattos Filho弁護士事務所のマルシオ・ジアス・ソアレス弁護士/ミッシェーリ・マシャード弁護士
左から清水 マサオ ワルテル副委員長/アンダーソン・毛利・友常法律事務所東京オフィスの角田太郎弁護士