日メルコスールEPA準備タスクフォース第8回会合を開催

2018年10月25日(木)16時より日メルコスールEPA準備タスクフォース第8回会合を開催、講師としてジェトロメキシコ事務所より中畑貴雄次長にお越し頂き『日墨EPAの発効後13年の評価』と題し講演が行われた。

冒頭の土屋信司 日伯経済交流促進委員長の開会挨拶で、経団連(日本経済団体連合会)および日本商工会議所の連名で菅 義偉官房長官へ日本メルコスールEPA交渉の早期開始を求める提言書が10月23日手交されたことを報告、タスクフォースメンバー一同へこれまでの尽力と協力に関し謝意を述べた。(参照:http://jp.camaradojapao.org.br/camara-em-acao/-a-a-a-a-a-a-epa/

中畑次長は講演の中で、日墨EPA交渉開始の背景、日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)の概要と発効後の貿易投資動向、EPAによる関税削減メリット、関税削減以外のメリットと章立てをし詳細な解説を行った。日本にとって実質的に初めての本格的EPA交渉であった日墨EPAは、FTAが無いことにより日本が受けていた実害の解消を目的に、マルチ(WTO)交渉重視から二国間FTA交渉へのシフトによる補完を目指し、最初にJETRO-SECOFI(現メキシコ経済省)共同研究が開始。研究結果を受けて2000年経団連により「日墨自由貿易協定締結に向けた交渉の早期開始を勧告する共同声明」が発表され、翌2001年に産官学共同研究会が発足、2002年正式に交渉開始宣言が行われ、2005年に発効を迎えた。以降も改定議定書の発効やEPAに盛り込まれるビジネス環境整備委員会の本会合が各年行われるなど、日墨双方の要望に基づき協議が行われている。特にEPAの関税削減以外のメリットとしてビジネス環境整備活動は非常に活発に行われており、国際空港周辺の治安改善や駐在員居住地域の警備強化などの治安問題、メキシコ産業財産権庁によるオンデマンドの取締や税関における知財侵害疑義品の差押などの知財・基準認証分野、国税庁高官を講師とした日系企業向け税務セミナーの開催や日系企業への付加価値税(IVA)還付遅延に関する個別支援、原産地証明の規則問題解決などの税務・通関分野、国境地帯の出入国手続き円滑化や国家移住庁窓口におけるビザ関連手続きの個別支援など労務(出入国管理)分野、またAero MexicoとANAの就航発着枠の確保など観光の分野で確かな実績を残していることが説明された。またメキシコ既存の減税制度Prosecの対象外となる一部の品目においても日墨EPAによる関税削減が可能となるなど、発効から13年を経た評価として総じてEPAのポジティブな効果が得られているとし講演を締めくくった。(Pdf中畑講師プレゼン資料

最後の挨拶で土屋委員長より、次回の会合については今後の動向を鑑みながらメンバー各位にご相談、ご連絡したい旨コメントがあり閉会となった。

参加者(順不同、敬称略):中畑貴雄 ジェトロ・メキシコ事務所次長、楠 彰 在サンパウロ総領事館首席領事、中野直樹 副領事

タスクフォース:土屋信司(ブラジル三井物産/日伯経済交流促進委員長)、村田俊典(双日ブラジル/政策対話委員長)、芦刈宏司(ブラジル三井物産/日伯経済交流促進副委員長)、二宮康史(ジェトロサンパウロ/企画戦略副委員長)、佐久間太郎(双日ブラジル/政策対話副委員長)、櫻井淳(伯国三菱商事/政策対話副委員長)、大塚未涼(ブラジル三井物産/政策対話委員)、柳本安紀(双日ブラジル/政策対話委員)

米長浩(ブラジルトヨタ/自動車部会)、土門翔平(ブラジルトヨタ/自動車部会)、植田真五(三菱重工/機械金属部会長)、村松正美(パイロットペン/化学品副部会長)、関 宏道(味の素/食品部会)、吉田信吾(NYK/運輸サービス部会長)、水口直人(NEC/電気電子部会)、的場俊英(島津製作所/貿易副部会長)、長野昌幸(ブラジル三井住友海上/金融部会)、岩瀬恵一(ジェトロ・サンパウロ事務所次長)

会議所事務局:平田藤義事務局長、日下野成次総務補佐、吉田章則調査員、近藤千里アシスタント

(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=45283