JETROサンパウロ事務所(大久保敦所長)は当会議所と共催で11月7日から9日の日程でパラグアイ・ビジネス投資環境視察を目的とした第3次日本企業ミッションを派遣した。
パラグアイはメルコスール(南米南部共同体市場:メルコ)の一角を占め、人口約7百万人、国土面積約40万平方キロ(日本は37万平方キロ)の食料生産国として広く知られているが、近年メルコスール域内向けの生産輸出基地として益々脚光を浴びている。
2015年10月に行った第1次視察ミッションではブラジル企業の旺盛な進出振り(約75社)に感嘆したが、3年間でさらに増え120社に達している。ブラジル企業が顕著な伸びを記録しているのに比べ、まだまだ日本からの進出件数が奮っていないのは残念である。
今年8月に誕生した新政権のマリオ・ベネテス大統領も前政権の自由開放政策を踏襲、インフレもコントロールされ経済も安定、年率4~5%の経済成長を維持している。表敬訪問先の商工省ではペドロ副大臣(去る10月16日会議所で開催した投資セミナー講師)が視察ミッション一行を歓迎、同省の投資輸出促進局(REDIEX)が投資機会として魅力的なパラグアイについて具体性のある説明を行った。
平田事務局長は視察ミッションに先立ち、在サンパウロREDIEX事務所所長のSebastian Bogado 氏からパ国進出ブラジル企業一覧を入手、業種・業態別に分類、その分析結果を商工省の担当官に説明・報告する一方、日本企業によるパ国進出展開の一助に供した。(下表参照)
その後、市内を一望できる最上階のレストランで在パラグアイ日本商工会議所の進出日系企業や日本人設立現地企業幹部等と昼食会を挟み懇談ネットワーキングを行い、パ国での事業展開について予備知識を得た後、自動車ワイヤーハーネス生産状況やアスンシオンでの生産メリット・課題を把握するために矢崎パラグアイを見学した。夜は在パラグアイ日本国大使主催のレセプションに参加、パ国政府要人をはじめ大使および大使館関係者等と懇談・ネットワーキングを行った。
翌日の8日(木)宿泊ホテルを午前4時半にバスで出発、アスンシオン空港発第一便でシウダデルエステ空港に7時に到着、シウダデルエステのフリーゾーンで展開するフジクラパラグアイ視察、自動車ワイヤーハーネス生産状況を見学後、ブラジル工場を閉鎖し同フリーゾーンに移転、商工業用照明器具製造を集約したKOUMEI社を訪問した。
アグロ佐藤グループが経営するASAHI RESORTを訪問、イグアス湖畔の雄大な景色を前に昼食懇談した後、同グループが経営する各種事業所を見学した。大豆やトウモロコシなど農作物を栽培、醤油生産、牧畜、リゾート経営、農業用機械も販売展開する等、今イグアス日本移住地で成長株企業として最も注目されているグループである。
同地区内で展開するイグアス農業協同組合を訪問、工藤忠利理事長と意見交換を行った。平田事務局長は将来の日メルコスールEPA協定にあたって最大のバリアーは国益が絡み合う農業問題だと前置き、自由開放政策を先取りするパ国、とりわけイグアス農業協同組合が主導して日本の農業事業者とJVの形で農産加工品を製造、日本向け逆輸出の可能性について同組合理事長の見解を伺った。残留農薬基準が世界中で最も厳しく、食の安心・安全を重視する日本がどれだけパ国を信頼、何処まで関心を寄せるのか如何に掛っているとの事だ。
夜にはシウダデルエステで主に商業活動を営む、社団法人組織のイグアス日本人会(シウダデルエステの主に商業活動に従事、活躍する有志の集まり)と食事を囲みネットワーキング。1960年代に始まったイグアス移住地に限っては未だ60年の歴史しかない。祖父母や父母の苦労をベースに今、活躍の主役は2世に引き継がれている。
最終日の9日(金)は開店早々のGustavo三浦CEOが経営する量販店の「NISSEI」(年商400~500億円)訪問を最初に、シウダデルエステ商店街を視察、パラグアイ側から雄大なイタイプ水力発電所を見学。国境に掛る友情の橋を渡りブラジル側のレストランで昼食兼解散式を行い無事3日間の視察ミッションが終了した。
今回のミッション参加者:
商社(3社-3名)、機械金属(3社-3名)、電機電子(2社-3名)、建設(1社-2名)、法律事務所(1社-1名)会議所から平田事務局長。
(Fotos: JETRO/SP)