ボルソナロ次期大統領のパル協定離脱発言で、EUメルコスールFTA協定が暗礁に

昨日19日フランスのマクロン大統領は、大詰めを迎えている欧州連合(EU)とメルコスル(南米南部共同市場)の自由貿易協定(FTA)交渉について、ブラジルのジャイール・ボルソナロ次期大統領が地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」からの離脱を示唆していることを理由に、早期妥結に否定的な考えを示している。

パリ協定はアマゾン地域に対するブラジルの主権と衝突するとして、ボルソナロ次期大統領は離脱を示唆している。今年5月末に温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を検討する発言をしていた米国のトランプ大統領に対して、マクロン大統領は残留を要請していた。

メルコスール加盟国のアルゼンチン並びにウルグアイ、パラグアイ、ブラジル首脳は、9月25日にニューヨークで会談、EUとの自由貿易協定(FTA)締結は 過去20年間の交渉で、はじめてFTA合意の見込みが現実的になると期待されていた経緯があった。

フランスは、EUメルコスールFTA交渉で常に自国の牛肉や砂糖派生品が大きな損害を被ると抵抗していたにも拘らず、最近は柔軟な姿勢を見せていた。しかしボルソナロ次期大統領の地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱発言で、一転してFTA交渉が再度難航すると予想されている。

EUメルコスールFTA交渉で合意に至っていない分野には、牛肉並びに砂糖、自動車・同部品が含まれる。EU側は今年1月に、牛肉輸入枠を7万トンから9万9,000トンに引き上げることを提案したものの、メルコスール側は13万トンの枠を求めていた。

また砂糖に関しては年間15万トンの対EU輸出枠が認められるものの、1トン当たり98ユーロの関税が課せられることにメルコスール側で不満が出ていた。EUからのメルコスールの自動車・同部品の輸入自由化のための猶予期間に関しては、10年から15年に引き延ばす要望がメルコスール側から提出されていた。

今週ボルソナロ次期大統領は、ブラジルの環境保全や国土開発に対して先進諸国は規制だけを押し付けて協力しないために、ブラジルのアグロビジネは窒息状態に置かれていると指摘しているものの何時でも対話する用意があると説明している。(2018年11月30日付けエスタード紙)

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