外国人名義の土地所有面積はリオ州に匹敵

外国人の個人及び法人企業名義のブラジル国内の土地所有面積は、リオ州に匹敵する361万7,000ヘクタール、そのうち個人名義の土地面積は129万3,000レクタール、法人企業名義の土地面積は232万4,000レクタールとなっている。

外国人の個人及び法人企業名義のブラジル国内の所有土地は、全国の市町村5,500市の約60%に相当する3,205市に及んでいると全国農業信用システム(SNCR)並びに国立農地改革院(INCRA)の統計から割り出されている。

中国企業は、2009年から電力エネルギー部門を中心にブラジル国内の基幹産業部門に対して、ハイリスク・ハイリターンにも関わらず、積極的に企業買収などで投資を継続している。

2009年以降の中国企業によるブラジル国内への投資は、総額539億6,000万ドルに達している。そのうち投資総額の47%は電力エネルギー部門への投資、石油・天然ガス開発部門への投資は29%、鉱業部門8.0%、自動車部門4.0%、農畜産部門4.0%、金融サービス部門は3.0%、その他は5.0%となっている。

「我々はEletrobras公社をどの国に対しても譲渡してよいのか? 貴方はEletrobras公社が中国資本の傘下に入っても容認できるか? 我々ブラジル人にとって川中のEletrobras公社の配電事業分野の民営化は心配ないが、川上のエネルギー発電事業の民営化は非常に危険で断固反対」とボウソナロ大統領候補は、特に中国企業による基幹産業部門の買い占めを警戒していた経緯があった。

ブラジル農村協会(SRB)では、ボウソナロ次期大統領の積極的な外資導入の一環として、農畜産業界の輸出拡大のための外資系企業に対する農畜産部門投資解放政策に期待している。

中国の国営企業Chongqing Grain Group(CGG)は、大豆生産を目的としてブラジルのバイア州西部の農地10万ヘクタールを約3億ドルで購入する計画を進めていたにも関わらず、連邦総弁護庁(AGU)が待ったをかけていた経緯があった。

中国人並びに中国企業によるブラジル国内と所有土地は、664カ所で総面積は僅か1万126ヘクタールにしか過ぎないが、日本人の土地所有は6912カ所で、総面積は外国人の所有面積の10%に相当する36万8,873ヘクタールとポルトガル人に次いでいる。

外国人の耕作地所有比較では、ポルトガル国籍が外国人所有の耕作地面積の約25%を占めてトップ、次いで1970年代にセラード開発で土地所有を拡大した日本国籍の10%、スペイン国籍、ドイツ国籍、米国籍、アルゼンチン国籍、レバノン国籍が上位を占めている。

外国人の州別の耕作地所有比較では、サンパウロ州内の539市に38万6,417ヘクタールを所有、パラナ州は332市に24万4,507ヘクタール、ミナス州は488市に65万2,798ヘクタール、南大河州は280市に13万115ヘクタールを所有している。

またブラジルの穀倉地帯に変容しているマット・グロッソ州は96市に46万7,032ヘクタール、南マット・グロッソ州は70市に26万9,425ヘクタール、熱帯雨林の違法伐採が拡大しているアマゾナス州は285市に10万2,810ヘクタール、トカンチンス州は67市に8万8,494ヘクタールを所有している。

外国人の土地所有の利用状況として、畜産業部門は全体の25%を占めてトップ、農業生産部門は14%、植林事業部門は11%、鉱業部門6%、製造業部門2%、水資源利用部門は1%となっている。

1971年の法令5709号で外国人によるブラジル国内の農耕地所有は禁止されていたにも関わらず、形骸化していたため2010年に連邦政府が外国人による自由な土地購入に対する制限強化、ブラジルに本拠を置く企業を設立することで既存の制限をかいくぐる抜け道を塞ぐことを決定して制限されていたが、しかし外国人による農耕地購入による投資は、ブラジル国内経済を活性化させる利点のほうが制限するよりも多いと議論されてきた経緯があった。

ジウマ政権では長らく外国人への耕作地所有に関する議論は棚上げされていたが、外国人による農耕地の購入で植林事業や農畜産事業への投資を活性化する動きがでてきており、また外国企業グループによる農耕地購入は最大10万ヘクタールまでに制限すれば問題は発生しないと議論されていた経緯があった。(2018年12月17日付けエスタード紙)

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