2018年12月14日、午前9時~13時過ぎまで、サンパウロ大学のオーディトリアムにて、日伯医療協力プロジェクト閉会セレモニーが開催され、関係者を含め約80名が招待され、事務局からは、平田事務局長、吉田調査員が参加した。この日伯医療協力プロジェクトは、フジフィルムの画像通信/保存/管理ソフトウェア(PACS)を媒体として、サンパウロ大学病院、サンタ・クルズ病院、アマゾニア病院の3病院を結び、それぞれの放射線科医が、実際の症例に対する診断について、「遠隔診断」を行ない、2017年6月から毎月開催され、当日が18回目最後の遠隔診断となる。
セレモニー開会挨拶で、シントラサンパウロ大学代表は、サンパウロ大学の事業を説明、JICA斉藤所長は、医療分野における研修プロジェクト、日系病院連携協議会、日系企業との連携、またフジフィルムブラジルの田川社長は、病院でのPACS導入や今回18回目となる「遠隔診断」について説明した。
セレモニー招待者挨拶で、大使館の藤原書記官は、民間企業と連携して、日本の優れた技術を紹介しブラジルの健康の向上に努め、またメディカル分科会と一緒に、ANVISAやINMETROへの政策提言活動を支援していると述べた。次に、平田事務局長は、2013年のメディカル分科会の発足当初の活動目標、その直後に行われた貿投委にての医療機器承認審査の迅速化の提言、2014年の安倍総理訪伯の際に開催された第1回日伯医療規制分野セミナー、2015年の外交関係樹立120年記念「日伯医療連携の未来」セミナーについても触れ、節目節目のイベントについて語り、ブラジル国内の医療無料サービスの課題を述べ、その解決策の一つとなる遠隔診断や新技術導入とフジフィルムの更なる発展を祈願した。最後にジオバニ サンパウロ大学放射線科医は、ブラジルの医療システムの課題解決には、第4次産業、IT医療、AI医療などの時代の変化についていく必要があり、そのための日本の協力は不可欠であると話した。
当日は、18回目の「遠隔診断」が実演され、サンパウロ大学病院、サンタ・クルズ病院、アマゾニア病院の放射線科医がそれぞれ、実際の患者症例を通信上の画像に映し出し、それぞれの特殊ケースを説明、各病院の医師が他病院のケースについての各自の見解を述べた。その実演の中には、日本九州大学の医師ともライブでつながり、通訳を介しての実演も行なわれた。
その後、サンパウロ大学病院、サンタ・クルズ病院、アマゾニア病院より、このプロジェクトに関する発表が行なわれ、実際の現場でこのシステムを日々活用している医師、看護師、学生などからもプロジェクトについてのコメントがあり、プロジェクトの成功と、いかに効率向上に寄与してきたかが見て取れた。更に、日伯友好病院やフジフィルム本社よりも発表が行なわれ、最後に、サンパウロ大学病院のカンピ医師による閉会の挨拶によりセレモニーが終了した。
(写真提供 フジフイルムブラジル)