今年1月のブラジルのCDS指数は183ポイントと大幅に改善

昨年10月の大統領選挙予想が不透明であった9月4日のブラジルの社債や国債、貸付債権などの信用リスクに対して、保険の役割を果たすデリバティブ契約の5年物のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、311ポイントを記録していた。

しかし10月末に決戦投票で開放的な経済政策を謳っているジャイール・ボウソナロ候補(社会自由党-PSL)の勝利に伴って、サンパウロ平均株価が大幅に上昇してきている。

今後のブラジル国内の金融投資は、ボウソナロ新政権による年金・恩給の社会保障改革並びに税制改革、財務相になると予想されているパウロ・ゲーデス氏の自由開放経済の採用などの要因で、海外投資家の信頼回復如何に係っている。

現在のブラジルのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は180ポイントまで減少して、投資適格級に接近してきているにも拘らず、投資適格級入りには2段階下にランク付けされている。

格付け会社S&Pは昨年初めに、ブラジルの長期ソブリン格付けを10月の大統領選や年金制度改革を巡り不透明感が高まっていることを理由に、「BB」から「BBマイナス」に引き下げていた。

また大手格付け会社のフィッチ・レーティングスも昨年2月末に、年金改革案成立困難な状況や財政悪化懸念で、ブラジル国債の格付けを「ダブルBマイナス」と「ダブルB」から1段階引き下げていた。

ブラジルと新興国諸国のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)比較では、昨年9月初めのブラジルのCDS指数は311ポイント、今年1月は183ポイントまで減少して大幅に改善したが、メキシコは126ポイントから137ポイントと僅かに上昇して悪化している。

またコロンビアは115ポイントから135ポイントに上昇した一方で、ロシアは168ポイントから141ポイント、南アフリカは256ポイントから204ポイント、トルコは577ポイントから374ポイントとそれぞれ改善している。

投資適格級に格付けされていた2014年のブラジルのCDS指数は最低を記録していたが、経済リセッションの2015年末には、540ポイントを突破してヴェネズエラ並びにギリシャ、ウクライナ並みまで信用が低下していた経緯があった。

今後のブラジルのCDS指数がさらに下がるためには、ボルソナロ新政権による早期の年金・恩給改革の国会承認、財政健全化政策、経済活性化政策の導入を図り、対内債務残高をGDP比70%以下に減少が必須となっている。(2019年1月16日付けヴァロール紙)

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