1月25日にヴァーレ社所有のミナス州都ベロ・オリゾンテ市近郊のブルマジーニョの鉱山廃水用ダムの決壊事故が発生、150人以上の死者や200人近い行方不明者に達する大災害が発生、未だに捜索が継続している。
ブルマジーニョの廃水用ダムの決壊事故が発生する2日前に、ヴァーレ社は廃水用ダムのモニタリングセンサー不良を確認していたことがミナス州環境保全局の調査で判明していた。
ミナス州では2015年11月にサマルコ社のマリアーナ鉱山廃水用ダムの決壊事故発生で過去最悪規模の人身事故となり、有毒物質を含んだ濁流によるドーセ川流域一帯の環境破壊、漁業および農業への壊滅的被害が発生して、鉱山廃水用ダムの補強や保全対策が最重要課題となっていたにも拘らず、僅か3年後に同様の事故が発生した。
更に2月初めのミナス州最大の鉄鉱石生産を誇るブルクツ鉱山のラランジェイラス廃水用ダムの操業許可が停止となり、ヴァーレ社では、年間7,000万トンの鉄鉱石の減産を余儀なくされる可能性がでてきている。
継続するヴァーレ社の鉱山廃水用ダムの決壊事故発生や操業停止で、今年の第2四半期の鉄鉱石価格が上昇して、1トン当たり100ドルを突破する可能性があるもののコンペチターの資源大手が増産するために高止まりする可能性は低い。また世界の鉄鋼製品需要も低迷しているとTachibana Securities社鉄鋼業界アナリストのTakeshi Irisawa氏は説明している。
S&P Global Plattsの調査では、昨日含有量が62%の高品質鉄鉱石の1トン当たりの価格は90.50ドルと過去2年間で最高の価格まで上昇していると英国のファイナンシャルタイム誌は伝えている。
Wood Mackenzie社アナリストのRohan Kendall氏は、今年のヴァーレ社の鉄鉱石生産が5,000万トン減産すれば1トン当たりの鉄鉱石価格は80ドルと事故発生前の予想67ドルを大幅に上方修正している。
ヴァーレ社の鉱山廃水用ダムの決壊事故発生や操業停止で最も影響を受けるのは鉄鉱石ペレットであり、今後3か月間の1トン当たりの平均ペレット価格は80ドル、6カ月間は70ドル、12カ月間では65ドルとGoldman Sachs銀行は予想している。
昨日のヴァーレ社の最大のコンペチターであるオーストラリア資本Rio Tinto社の株価は2.0%上昇して2008年以降では最高の株価を記録、今年は既に18.0%高騰している。またFoetescue社の株価も4.0%高騰、世界最大の鉄鉱石生産BHP社の株価も上昇している。(2019年2月8日付けヴァロール紙)