先月19日米国資本フォード社は、50年間に亘って生産、現在はトラック並びにコンパクトカーFIESTA車を生産しているサンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ工場閉鎖を発表していた。
しかしサン・ベルナルド・ド・カンポ工場閉鎖は、4,500人に及ぶ直接及び間接雇用の減少に繋がるために、先週、ABC金属労連のジョゼ・キシャベイラ代表は米国フォード本社に赴いて直訴したにも関わらず、フォード社はSBC工場にはびた(鐚)一文も投資しないと宣告されている。
また昨日フォード社のサン・ベルナルド・ド・カンポ工場前の総会で、金属労連執行部のラファエル・マルケス氏は、既に3社がサン・ベルナルド・ド・カンポ工場買収に名乗りを挙げているが、我々にとって買収企業による雇用維持交渉が今後の焦点になると説明している。
買収企業に名乗り挙げている企業として、フォード社の販売代理店で、またゴイアス州で韓国資本の現代自動車の自動車を生産、サンパウロ州ジャカレイ市で乗用車を生産する奇瑞汽車(Chery)とパートナーを組むブラジル資本CAOAグループが名乗りを挙げている。
フォード社は、サン・ベルナルド・ド・カンポ工場閉鎖後にバイア州カマサリ工場での自動車増産を公表しており、過去5年間で総額75億レアルに達する税制恩典を受けている。
またフォード社は、社会経済開発銀行(BNDES)から格安金利で補助金的な要素のある55億レアルのクレジット享受、それ以外に連邦政府による自動車技術革新政策(Inovar Auto)やRota2030プログラムで税制恩典を受けている。
しかしフォード社の南米地域の事業では2013年~2018年にかけて45億ドルの赤字を計上、特にブラジルの南米市場の売上は60%を占めていたにも関わらず、ブラジルの国内経済リセッションも追い打ちをかけて赤字体質からの脱出ができなかった。
昨日の金属労連の総会では、フォード社従業員はストライキの継続を決定、労働者党(PT)のグレイシー・フォフマン党首は、米国のトランプ大統領と会談を予定しているジャイール・ボルソナロ大統領に、フォード社のブラジル撤退中止を要請する。(2019年3月13日付けエスタード紙)