2020年の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府及び地方政府(州並びに市)を合わせた連邦政府の財政プライマリー収支は、コロナウイル感染拡大による人的損害予防のための保健衛生部門や失業拡大防止などの緊急救済措置の天文学的な支出を余儀なくされ7,000億レアルの赤字に達する可能性があり、統計を取り始めた2001年以降では最悪の財政プライマリー収支赤字を記録すると国庫庁のマンスエット・アルメイダ長官は示唆している。
「連邦政府の今年の財政プライマリー収支赤字の楽観的な予想は、GDP比8.0%に相当する6,000億レアルが見込まれているが、GDP比9.0%に相当する7,000億レアルに達する可能性も否定できない」とマンスエット・アルメイダ長官は説明している。
2019年のブラジル政府の財政プライマリー収支は、GDP比0.85%に相当する618億7,200万レアルの赤字に留まった。2020年の中銀並びに国庫庁、社会保障院(INSS)で構成される中央政府の財政プライマリー収支の許容目標赤字は1,241億レアルであったにも関わらず、新型コロナウイルス感染拡大対応の非常事態宣言(カラミダーデ・プブリカ)で、今年の財政プライマリー収支は、連邦政府の予算基本法で定められた財政プライマリー収支の許容目標赤字1,241億レアルに収める必要がなくなっている。
今年3月末の公共債務残高は、GDP比78.4%に相当する5兆7,500億レアル、今年末の公共債務残高はGDP比90%突破が予想されており、他の新興国諸国の公共債務残高のGDP比率を大幅に上回ると予想されている。
新型コロナウイルスのパンデミック対応による緊急救済措置の天文学的な支出を余儀なくされるため、今年の財政プライマリー赤字拡大は避けられない一方で、昨年下半期の年金・恩給改革の国会承認に続いて、国会での税制改革、行政改革や財政改革など一連の構造改革について、政治的対話を継続する必要性をアルメイダ長官は指摘している。
「税制改革にこれほど取り組んでいる国会を見たことがない。現行の税制度はブラジルの成長を最も妨げる項目の一つであり、ブラジルにとって最も重要で必要な改革」とアルメイダ長官は指摘している。