昨日ブラジリアで経済省の政府高官等と一連の会談を終えた後、本日5月21日石川政務官は会議所幹部等と日本・メルコスールEPAに関する日系進出企業への影響度やブラジルの様々なビジネス環境等々について意見交換を行った。
村田会頭は自動車部会に所属する日系完成車メーカー3社を例に、競合であるEU・メルコスールまた韓国・メルコスールFTAの発効が先行し10年という段階的な関税撤廃があった場合、発効初年度2021年では約3億ドルの売上減少、10年後の2030年にはその減少額が約40~50億ドルに拡大、10年間合計では約200億ドル、年平均約20億ドルの売上が減少する試算であること等を説明し、日本が競合EU、韓国に劣後した際のインパクトとそれに対する危機感を表明した。
同政務官は最も元気の良い業界や企業について関心を寄せる一方、日本の社会に内在するデジタル化やキャッシュレス化にも言及、特にキャッシュレス化は逆にブラジルの方が進んでいるのではと感触を述べ、出席者から忌憚のない発言を誘った。
食品業界の中でも日本ブランドを確立し一般国民に定着した老舗的日本企業、近年の大不況下でも安くて質の高い日用品の輸入販売で成功、店舗を拡大し続ける好調な新規参入日系企業、また今後の日本からのコンビニエンスストアーの進出の可能性、一般消費者に密着したブラジル特有のバイク宅配、自転車・電動キックボード(Patinete Elétrico)リース業、Eコマース、日本よりもウーバーが普及していること、脆弱な社会インフラを補完する形でスタートアップ起業家や新しいビジネスモデルが続々と誕生していること、ソフトバンクによる投資ファンド(50億ドル)などについて触れられ、南米市場ほかブラジルの潜在的なポテンシャルを新たに認識する会合となった。
その他、鉄道輸送(僅か5%)・トラックモダルの脆弱性、品質の高いインフラによる日本企業の貢献、日本の内需指向から海外指向への展開の必要性、長期的視点に立ちビジネス拡大を目指した労働力確保のための人的交流強化の重要性、日本へ大きく貢献するポテンシャルのある若い日系人の活用、その為の日伯間ビザフリー化、ブラジルの優先度を上げた日本外交や日メルコEPAへの期待感について話し合った。
参加者は、石川 昭政 政務官秘書官、野口 泰在サンパウロ総領事、森崎 智也 経産省中南米室事務官、上田 基仙領事、会議所から村田 俊典 会頭(双日ブラジル)、安田 篤 副会頭(損保ジャパン日本興亜)、佐藤 真吾 副会頭(ブラジル三井物産)、秋山 雄一副会頭(南米日本製鉄)、大久保 敦副会頭(ジェトロサンパウロ)、平田 藤義事務局長、ジェトロより岩瀬 恵一JETROサンパウロ事務所次長。