昨日21日トラックやバス製造のスウェーデン資本スカニア社(Scania)は、サンパウロ市近郊の自動車産業が密集するサンベルナルド・ド・カンポ市の同社工場の近代化や代替え燃料向けトラック生産などに14億レアルの投資を行うと発表した。
14億レアルの投資のうち7,500万レアルは研究開発センター向けに前倒しで投資するが、同社工場のP&D部門には既に250人のエンジニアが、本社とタイアップして研究開発を行っているとラテンアメリカスカニア社のChristopher Podgorski社長は説明している。
この14億ドルの新規投資は2021年~2024年の4年間の投資計画向けであり、2016年~2020年の現在の5か年計画投資総額26億レアルの追加投資であるが、詳細はサンパウロ政府による税制優遇措置「インセンチブアウト・プログラム」の公表後に発表される。
新規開発されるトラックは、液化天然ガス(LGN)やエタノールなどのバイオガス燃料であり、液化天然ガス(LGN)のオペレーションコストはディーゼル燃料よりも安価で、二酸化炭素排出量はディーゼル燃料よりも最大70%も削減できるクリーン燃料となっている。
スカニア社の14億ドルの投資は、サンパウロ州政府が今年3月に発表した自動車メーカー向けの税制優遇措置「インセンチブアウト・プログラム」の対象となるが、将来的にはハイブリッドトラックやEVトラックの生産も予定している。
税制優遇措置「インセンチブアウト・プログラム」では、自動車メーカーが10億レアル以上の投資を行って、400人以上の新規雇用を創出する自動車メーカーの製品に対して、州税の商品・サービス流通税(ICMS)を最大25%軽減する。
同社のサンベルナルド・ド・カンポ工場には4500人の従業員を擁しているが、短期投資計画には新規雇用は予定していない。サンベルナルド・ド・カンポ市長は、新規雇用を促す政策として50人の新規雇用に対して自動車工場の都市不動産所有税(IPTU )の30%割引を提示している。
全国自動車工業会(Anfavea)では、今年のトラック生産を前年比15.0%増加の8万8,000台と予想、昨年8,600台を販売したスカニア社では、今年のトラック販売を前年比10.0%~20.0%を見込んでいる。
今年2月に50年間に亘ってトラックを生産してきた米国資本フォード社は、今年2月に、赤字が続いているトラック並びにコンパクトカーFIESTA車を生産しているサンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポ工場(SBC)閉鎖を発表した。
3月10日にサンパウロ州政府のジョアン・ドリア州知事は、サンパウロ州内の自動車メーカーの撤退を防ぐために、投資活性化のためにIncentivAuto(自動車工業優遇税制)プログラムとして、商品流通サービス税(ICMS)を最大25%カットする減税政策導入を発表していた。
ドリア知事は2カ月間に亘ってGM社企業経営者側と撤退防止と投資活性化で交渉、GM社は撤退交渉から一転して、2020年~2024年の5か年計画として、サンパウロ州サン・カエターノ工場並びにサン・ジョゼ・ドス・カンポス工場に100億レアルに達する投資を発表した経緯があった。
また現代自動車はサンパウロ州ピラシカーバ工場の年間生産台数を18万台から21万台に増産するための1億2,500万レアルの投資を発表、今日FCA Fiat Chrysler社はミナス州ベッティン工場の投資計画を発表予定している。
ルノー日産は、リオ州レゼンデ工場並びにパラナ州サン・ジョゼ・ドス・ピニャエス工場の増産に対する投資計画を検討している。(2019年5月22日付けエスタード紙)