格付会社Fitchはブラジルの格付けを「BB-」に据置

主要格付け会社のムーディーズ社並びにS&P社、フィッチ社の一つであるフィッチ社はブラジルの国債格付け(ソブリン格付け)を「投資不適格級」や「ジャンク級」などと呼ばれる格付け「BB-」、見通しを「安定的」に据置いた。

ジャーナル・ボルソナロ新政権誕生はメディアから好意的に受け取られる新政権誕生後の100日間が過ぎたにも拘らず、一向にボルソナロ新政権の最初で最大の構造改革となる年金・恩給改革が頓挫状態で足踏みして、いつ国会を通過するのか見通しが立っていない。

また年内の年金改革やブラジルの持続的安定成長を保証する公共負債軽減に繋がる財政再建政策が進展しなければ、フィッチ社はブラジルの国債格付けの格下げの可能性も否定していない。

継続する経済成長率の下方修正、公的負債の増加、与党の幼稚な政治工作、さらに拡大するラヴァ・ジャット汚職問題による政治家逮捕などは、年金・恩給改革の国会通過の足枷になっているとフィッチ社は指摘している。

パウロ・ゲーデス経済相は、新社会保障案による10年間での1兆2,000億レアルの歳出削減による経済効果を謳っているにも拘らず、ジャイール・ボルソナロ大統領がすでに女性の年金受給年齢の引下げを示唆しており、また勤労不可能な高齢者および障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(BPC)などの変更を余儀なくされるため、10年間の経済効果は6,400億レアルに留まると予想されている。

フィッチ社は、昨年のブラジルの名目財政プライマリ―収支赤字はGDP比8.0%と非常に高く、ソブリン格付けが「BB-」の国の平均名目債務残高はGDP比2.7%を大幅に上回っていると指摘している。

また昨年のブラジルの対内公的債務残高はGDP比77.2%とソブリン格付けが同じ「BB-」諸国の平均対内公的債務残高のGDP比45.0%を大幅に上回っており、今年のブラジルの対内公的債務残高はGDP比80.0%に達すると警告している。

格付け会社ムーディーズ社は、今年2月にブラジルの格付けを「Ba2」、見通しを「安定的」、S&P社では、最後の格付け見直しとして昨年4月に「BB-」、見通しを「安定的」としていた。(2019年5月22日付けヴァロール紙)

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