2019年第1四半期の住宅販売軒数は、前年同期比9.7%とほぼ二桁台の増加を記録したにも拘らず、前四半期の3万5,358軒から2万8,676軒と20%以上落ち込んでいるとブラジル建設工業会議所(Cbic)では発表している。
今年第1四半期の住宅販売リリース軒数は、1万4,680軒と前年同期比4.2%増加しているが、前四半期の住宅販売リリース軒数3万9,108軒との比較では40%未満に留まっている。
今年初めのブラジル国内の経済成長率は2.57%が予想されていたにも関わらず、月曜日発表された中銀の最終フォーカスレポートでは、13週連続の下方修正で1.23%と年初の半分以下の経済成長率に減速している。
またジャイール・ボルソナロ新政権とメディアとの蜜月期間の100日が過ぎたにも拘らず、年金・恩給改革が足踏み状態で、政治や経済の膠着状態が継続していることも、今年の住宅販売軒数は当初予想を大幅に下方修正されると予想されている。
昨年11月から今年2月までは住宅販売件数は、ジャイール・ボルソナロ新政権による早々の構造改革への期待で好調に推移していたにも関わらず、与党の稚拙な政治駆引きで年金改革が足踏みしているために、一般消費者並びに企業経営者の景況感が停滞して景気回復ムードに程遠い。
Setin不動産のAntonio Setin社長は、昨年の住宅販売総額(VGV)は7億レアルであったが、今年は年金改革が国会で承認されれば加速度的に住宅販売は上昇して大幅に上回ると楽観的な見方をしている。
ブラジル国内の住宅販売の大半は長期の住宅ローン販売であり、年金改革並びに税制改革が国会で承認されれば現在の過去最低の政策誘導金利(Selic)6.5%を基にした低金利の住宅ローン販売が大幅に拡大するとEven社のVinicius・Mastrorosa取締役は楽観視している。
サンパウロ不動産関連業者組合(Secovi-SP)の調査によると、今年第1四半期のサンパウロ市内の住宅販売は前年同期比17.0%増加の6,790軒、新規住宅リリース軒数は21.0%増加している。
サンパウロ市内の住宅販売は、経済リセッション真っただ中の2016年が底であったが、今年初め4か月間の建設業界の新規雇用は、昨年1年間を上回っているとSecovi組合チーフエコノミストのCelso・Petrucci氏は説明している。(2019年5月29日付けエスタード紙)