連邦政府は新社会保障改革案の国会承認が9月以降にずれ込むために、年内の国内経済活性化の一環として一般消費者の消費拡大するために、現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金引出を検討している。
経済省では、現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金引出額を最大で預金総額の35%を検討しており、この経済活性化政策導入で420億レアルが消費市場に流入すると算盤を弾いている。
経済省では、現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金総額が5,000レアルまでは最大35%の預金引出が可能、1万レアルから5万レアルまでは30%、5万レアル以上は10%の引出を検討している。
今月10日下院議会本会議で第一回新社会保障年金改革案は可決され、下院本会議での第二回新社会保障年金改革案の採決は8月6日以降、上院議会での採決は9月以降が予定されており、年金改革法案の国会承認は確実にも拘らず、連邦政府は承認までの期間の経済活性化を余儀なくされている。
正当な理由なしに解雇された従業員は、勤続期間保障基金(FGTS)預金を全額引出が可能なうえに、預金総額の40%相当が雇用企業の罰金として解雇従業員に支払われるが、連邦政府ではFGTS預金引出制限を検討している。
連邦政府では、民間従業員の勤続期間保障基金(FGTS)預金は引出枠を決めて毎年引き出せるように検討しているが、2017年11月11日から施行された新労働法では、解雇された労働者は預金残高の80%に引出、企業は20%の罰金支払いが可能となっている。
2015年末までに正当な理由で解雇されたり、辞任を申し入れたりして会社を辞めた人が、退職後も引き出せずにいた勤続期間保障基金(FGTS)に積み立てられた凍結預金の引き出しは、ミッシェル・テーメル政権時の2017年3月10日から開始されて7月31日で終了したが、2,590万人の労働者が総額440億レアルの凍結預金引出を記録して、負債軽減や資本財購入に結び付いていた経緯があった。
しかし現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金の引出許可の影響で、金利が最も低い勤続期間保障基金(FGTS)の住宅購入向けクレジットが減少する可能性があり、建設業界への資金停滞が憂慮されている。
現在の勤続期間保障基金(FGTS)預金の引出は、サラリーマンが年金受給開始時並びに企業による不当解雇時並びに不動産購入時などに限られていたが、テーメル政権から経済活性化の一環として、サラリーマンの消費拡大に利用されだした。(2019年7月17日付けエスタード紙)