サンパウロ商業登録所(Junta Comercial de São Paulo)の統計によると、2019年1月~5月のサンパウロ州内の鉱工業部門の製造拠点となる工場閉鎖は前年同期比12.0%増加の2,325カ所に達し、過去10年間では最悪を記録している。
2014年~2016年にかけて3年近く続いたブラジル国内の経済リセッションの終焉にも関わらず、製造業部門では継続して工場閉鎖による雇用減少傾向が止まっていない。
2014年~2018年の5年間のブラジルのGDP伸び率はマイナス4.2%を記録、特に製造業部門のGDP伸び率はマイナス14.4%を記録してGDP伸び率の足枷になっているとMB Associados社エコノミストのジョゼ・ロベルト・メンドンサ・デ・バーロス氏は指摘している。
一方今年初め5か月間のサンパウロ州内の製造業部門の会社設立は4,491社に達しているにも関わらず、規模の大きな製造業の閉鎖に対して大半が小・零細企業の設立となっているとメンドンサ・デ・バーロス氏は説明している。
ジャウー履物工業組合のカエターノ・ビアンコ・ネット会長は、過去数年間に300人~400人の従業員を擁する製造業が閉鎖を余儀なくされている一方で、元従業員などが小規模な工場設立をしているが、雇用規模が非常に小さいと指摘している。
2000年代にジャウー市では、女性用履物生産のために1万2,000人の雇用を抱えていたが、今では半分以下の5,000人規模に留まっているとビアンコ・ネット会長は指摘、履物業者が集中するフランカ市並びにビリグイ市の代表と共にジョアン・ドリア州知事に履物業界再生プランを手渡したと説明している。
サンパウロ市聖部西部地域の自動車部品メーカーIndebras社は、150人の従業員を解雇して企業閉鎖し、元従業員は給与遅延や支払い保証を求めて48日間も工場前で座り込みを続けていたが、企業側は18カ月間の分割払いを労働裁判所に確約した。
しかしサンパウロ金属労連幹部のErlon Souza氏は、企業側は初めの分割払いは実行するものの残りの支払はなおざりにする傾向があると警告して喚起を促している。
ブラジル国内経済の停滞の影響で、サンパウロ州で発生している大規模の製造業部門の工場閉鎖は全国的に発生しており、南大河州グラバタイ市のタイヤメーカーのPirelli社は、今年5月の工場閉鎖を発表して900人の従業員を解雇している。
一方Pirelli社はグラバタイ工場閉鎖による減産を補うために、サンパウロ州カンピーナス工場の拡張のために、今後3年間で300人の新規雇用を計画してタイヤ生産を集中生産する。
今年初め5か月間の製造業部門では、南大河州のPepsiCo/Quaker社、南マット・グロッソ州のPepsiCo/Mabel社、南大河州のKimberly-Clark社、南大河州のNestle社 、サンタ・カタリーナ州Malwee社、バイア州の Britania 社並びにPaqueta 社が生産工場閉鎖を余儀なくされている。
ABC Paulista地区の自動車部品メーカーDura社は、今年1月に5月の工場を閉鎖で250人の従業員解雇を発表した影響で、従業員がストに突入したために地元のリオ・グランデ・ダ・セーラ市の市長や金属労連が交渉を続けている。(2019年7月21日付けエスタード紙)