トランプ大統領はブラジルとのFTA協定締結を熱望

昨日ドナルド・トランプ大統領は、米国はブラジルとの二国間貿易協定締結を目指して交渉を開始するとマルコス・トロイジョ経済省通商国際問題特別局長もブラジル側も熱意をもって交渉に応じると説明している。

6月末にメルコスールとヨーロッパ連合(EU)のFTA交渉が政治合意に達したが、ブラジルと米国との二国間貿易協定締結には障害の可能性に繋がるメルコスールを通したFTA協定締結は避けられないとトロイジョ経済省通商国際問題特別局長は説明している。

トランプ大統領は「米国に高関税を課しているものの、ブラジルは偉大な貿易パートナーであり、両国の関係は非常に良好」と強調している一方で、31日にボルソナロ大統領並びにゲーデス経済相と会談するウイルベール・ロス商務長官は、二国間FTA交渉は簡単ではないとコメントしている。

20年近くにわたる交渉を経て、メルコスールとEUが6月末に自由貿易協定(FTA)締結の政治合意に達したが、米国とヨーロッパ連合(EU)との間では、植物検疫制度以外にも医薬品分野並びに化学品分野、自動車分野、食品分野での制度の不一致が存在するとロス商務長官は説明している。

マウリシオ・マクリ大統領率いるアルゼンチン現政権にとって、今回のEUとの自由貿易協定(FTA)の政治合意は、10月27日に行われる大統領選挙に追い風となり、今月初めには米国との自由貿易協定(FTA)締結歓迎を表明していた。

トランプ大統領は昨年3月に、通商拡大法第232条に基づいて鉄鋼製品とアルミニウム製品の輸入に高関税をかけることを決定、米国に輸入される鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税措置を発動してブラジルも8.0%の輸入関税をかけられていた。

2018年ブラジルの米国への資本財輸出は287億ドル、2017年のサービス財輸出は160億ドル、昨年の米国からブラジルへの輸出は290億ドルで世界10指に入っているとアメリカ商工会議所は説明している。

今年上半期のブラジルと米国の貿易収支は、ブラジルの9億1,920万ドルの黒字を計上、昨年の米国向け輸出の64%は完成品であり、特に航空機、鉄鋼製品、エンジン、エタノールなどが占めていた。

全国工業連合会(CNI)では、ブラジルの工業製品を輸入する米国との自由貿易交渉はブラジルの製造業企業にとって飛躍のチャンスと歓迎、また全国農業連合会(CNA)国際関係担当のリジア・ヅットラ氏は、米国はブラジルの農畜産部門にとって3位のマーケットであり、自由貿易協定締結で更に重要なパートナーになると歓迎している。

ゲーデス経済相と会談するウイルベール・ロス商務長官とは長年の親友であり、ヨーロッパ連合とのFTA協定に関係なく、デジタル課税、知的財産権、セーフガード、貿易手続きの簡素化などで二国間FTA交渉を進めることが可能と予想されている。(2019年7月31日付けエスタード紙)

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