【サンパウロ州内の工場閉鎖件数が過去10年で最大を記録 2019年1―5月に2,325社が姿を消す】

国内最大の工業地帯であるサンパウロ州で、2019年1―5月に2,325社が姿を消した。

国内最大の工業地帯、サンパウロ州で、2019年の年明けから5か月間で製造業及び鉱工業に関連する2,325社の法人登記が抹消された。商業登記所によると、この数は過去10年で最大であるだけでなく、前年の水準を12%上回った。

ブラジルが2014年から2016年かけて記録した景気後退局面以降、経済回復の足取りが緩やかなものにとどまり製造業の縮小と失業という痕跡を残していることを、このデータは示している。

2014年から2018年にかけてブラジルの国内総生産(GDP)が-4.2%というマイナス成長を記録、同じ期間に国内の製造業は14.4%縮小した。MBアソシアードスのエコノミスト、ジョゼー・ロベルト・メンドンサ・デ・バーロ氏は、「生産が大きく落ち込んでおり、明らかに、工場の閉鎖と解雇という形で企業に影響を与えたことを示している」と指摘した。

これと並行する形で1月から5月にかけて、サンパウロ州内では製造業関連で4,491社が開業している。伝統的に法人の新規登記数が登記抹消数を上回るものであるが、常にそれがポジティブな指標になるというわけではない。その事情についてメンドンサ・デ・バーロス氏は、工業GDPがマイナス成長ということは法人の新規登記件数とは関係なく生産が縮小していることを示しているために、恐らく、大企業が廃業してより小さな規模で複数の企業が開業したのだろう、と話す。

ジャウー市履物工業組合のカエターノ・ビアンコ・ネット委員長は、300人から400人を雇用して大企業と位置付けられる企業が多数、ここ数年で廃業したと話す。ビアンコ・ネット委員長は、「大企業が廃業すると多くの場合、別に新たな中小規模の企業が3社から4社、誕生する。そのいくつかは元従業員が起業したもので、雇用の規模は小さい」と言う。
 
ジャウー市の履物工業地帯は婦人靴の生産で国内を代表する地域として知られ、2000年代半ばには1万2,000人を雇用していていた。だがビアンコ・ネット委員長によると、現在、業界が抱える雇用は5,000人だ。最近になって同委員長は、フランカ市とビリグイ市の近隣の履物業界の経営者らとともに、サンパウロ州のジョアン・ドリア知事(PSDB:ブラジル民主社会党)を訪ねて業界の回復に向けた計画書を手渡したところだ。
 
工場を閉鎖した企業には、内資系企業だけでなく多国籍企業も含まれる。一部の企業はコスト削減を目的として従業員を別の事業所に配置換えしたが、別の企業は操業そのものを停止し、失業者の一群を後に残した。この失業者の一部は、給与や補償金を受け取ることもできなかった。
 
サンパウロ市西部の自動車部品メーカーのインデブラスは、4月に生産活動を停止し、150人を解雇した。給与が遅配、退職金も用意されず、解雇された労働者らは48日にわたって工場前でピケッティングを行った。最終的に労働裁判所において和解し、会社側が18か月に分割してこれらを支払うことを提案した。
 
サンパウロ市金属労組のエルロン・ソウザ理事は、「他の企業が和解後に行ったように、同社が最初の数回の支払いを行った後に支払いを停止するのを懸念している」という。

 

厳しい局面

国内各地の工業部門も、サンパウロ州工業が置かれているのと同じ状況に立たされている。小企業が廃業しているだけでなく、大規模なグループ企業も、生産性が低い事業所を閉鎖してより近代的な設備を持つ事業所への統合を進めており、そのほとんどのケースで、労働者が新たな事業所に配置換えされることはない。

タイヤ・メーカーのピレリも5月、リオ・グランデ・ド・スル州グラバタイー工場を閉鎖し、900人を解雇すると発表した。この工場が手掛けていたオートバイ用タイヤの生産は今後、サンパウロ州カンピーナス市の工場に統合され、こちらの工場では今後3年で300人を新たに雇用する見込みだ。同社は今回の判断について、「国内の厳しい局面を視野に入れて」求められる再編措置だったと強調する。

2019年に工場を閉鎖した企業のリストには外にも、ペプシコ/クエーカー(リオ・グランデ・ド・スル州)、ペプシコ/マーベル(南マット・グロッソ州)、キンパリー・クラーク(リオ・グランデ・ド・スル州)、ネスレ(リオ・グランデ・ド・スル州)、マルウィー(サンタ・カタリーナ州)、ブリタニア(バイーア州)、パケタ(バイーア州)が名を連ねる。サンパウロ州ABCパウリスタ地域では、自動車部品メーカーのズットラが1月、5月に工場を閉鎖して250人を解雇すると発表した。その後にストが発生し、リオ・グランデ・ダ・セーラ市役所、ABC金属労組を交えた労使交渉の後、同社は、工場閉鎖計画の先延ばしを決定した。(2019年7月21日付けエスタード紙)

 

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