ドル高の為替はコスト上昇も価格転嫁できず

今年のレアル通貨に対するドルの為替は7.0%以上上昇してR$4.00を突破しており、原材料を輸入している企業にとっては、コスト上昇に結び付いているにも関わらず、低調な国内経済で需要が低迷しているため価格転嫁ができず、収益が圧迫されている。

上下水道関連の水処理装置製造メーカーのEcosan社では、輸入機械・装置が販売コストの30%を占めており、6カ月前の輸入機械・装置の為替はR$3.70 であったが、今ではR$4.00を大幅に上回っているが、価格転嫁できないため大幅に利益を削がれている。

ブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は、ドル高の為替は輸入業者のコスト高と利益を圧迫、輸出業者にとっても現在のドル高の為替は投機的要素が強いために、競争力増加よりもリスクが大きいと説明している。

多くのエコノミストは、適正な為替はR$3.60 ~R$3.80と見込んでいるが、この適正水準に戻るのは、年金・恩給改革の国会承認並びに財政プライマリー収支の赤字減少を待たなければならないと予想している。

また米中貿易摩擦継続や中銀による過去最低となる政策誘導金利(Selic)の引下で、実質金利がブラジルよりも高いメキシコなどに投資金が逃避していることもドル高の為替の一因となっている。

一方ドル高の為替で石油派生品のナフサや天然ガスなどの価格が上昇に転じており、石油化学業界にとっては、石油派生品の増産を後押ししている。(2019年9月21日付けエスタード紙)

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