ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2019年8月の鉱工業生産は前月比0.8%増加と予想を上回る伸び率を記録、5月~7月の3カ月連続での前月割れから一転して増加、9月の鉱工業生産も増加が予想されている。
ブラジル地理統計院(IBGE)鉱工業部門の24セクター対象調査では、10セクターで前月比増加を記録、特に8月の鉱業部門生産は鉄鉱石並びに原油生産が牽引して前月比6.6%増加している。
しかし8月の製造業部門生産は前月比僅か0.2%増加に留まったものの、石油精製セクター並びに食品セクターが牽引した一方で、自動車セクターはマイナス3.0%を記録、衣類セクターはマイナス7.4%、機械・装置セクターもマイナス2.7%であった。
今年1月25日に発生したヴァーレ社のミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故で2月~4月の鉄鉱石生産は大幅減産していた一方で、今年5月~8月の4か月間の鉱業部門生産は前年同期比25.2%と大幅増加している。
現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金や凍結預金引出を承認。FGTS預金は9月13日から500レアルまでの預金引出が開始される一方で、社会統合基金(PIS)/公務員厚生年金(PASEP)の引出は8月から開始、今年8月から12月末までの引出総額は300億レアルが見込まれているために、製造業部門の恩恵を受けるとテンデンシアス・コンスルトリア社エコノミストのチアゴ・シャヴィエール氏は指摘している。
過去最低の政策誘導金利(Selic)、企業経営者の景況感の改善、設備投資の拡大予想などでブラジルの製造業部門は徐々に回復サイクル入りするとGoldman Sachs社は予想している。
しかしジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)エコノミストのラウラ氏は、アルゼンチンでは野党アルベルト・フェルナンデス大統領候補の第一次当選の可能性が濃厚となっており、アルゼンチン向け自動車輸出などの予想が不透明となっていると指摘している。(2019年10月2日付けヴァロール紙)