年金改革法案は上院の憲法司法委員会、本会議においてそれぞれの審議・承認(上院本会議では6割以上の賛成、投票は2回を経て成立するが、今月1日の上院本会議で第1回の年金改革法案基本文書は賛成56票、反対19票で可決された。
しかし下院議会の修正動議案では、第14カ月ボーナスの受給資格として1.4最低サラリー(1,364.33レアル)までとしていたが、最低サラリー(998レアル)の2倍まで受給資格が変更となり、今後10年間の歳出削減効果は、764億レアル減少して8,003億レアルの縮小を余儀なくされている。
また上院本会議で第1回の年金改革法案基本テキスト変更では恩給受給資格の変更で、今後10年間の歳出削減効果は271億レアル、勤労不可能な高齢者および障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(Benefício de Prestação Continuada–BPC)の変更で234億レアル、特別年金変更で63億レアル、特赦政治家向け年金テキストの変更で10億レアルの歳出削減効果の削減に結びていている。
ボルソナロ新政権発足直後の今年初め、年金改革を主導するパウロ・ゲーデス財務相は、年金受給最低年齢を男女ともに65歳として、今後10年間で1兆2,365億レアルの歳出削減を胸算用していた。その後の下院本会議での第2回修正動議案承認時の今後10年間の歳出削減効果は9,335億レアルであった。
ダヴィ・アルコルンブレ上院議長(DEM:民主党=アマパー州選出)は、第1回の年金改革法案基本文書法案を最低賛成票でも55票、票読みでは60票前後と胸算用していたにも拘らず、可決に必要な49票を7票上回ったにすぎず、第2回目の修正動議案の採決では、野党との調整が困難になると予想されている。
野党側では、第2回目の修正動議案の採決を前に11月6日に予定されているプレソルト鉱区の石油・天然ガス入札の地方政府への分配比率の引上げ交渉を持ち出してくると予想されている。
国庫庁に臨時歳入として1,065億レアルに達する石油・天然ガスメガ入札の地方政府への分配比率で、州政府知事に肩入れする上院議員と来年市長選挙があるために分配比率調整で難航している。
しかしパウロ・ゲーデス経済相は、今年初めに今後10年間で1兆2,365億レアルの歳出削減を目論んでいたが、上院本会議での第2回修正動議案承認前に既に8,003億レアルまで縮小しており、これ以上の譲歩を避けるための政治工作に苦慮している。
ダヴィ・アルコルンブレ上院議長は、第2回目の修正動議案の採決を遅くとも今月10日までと見込んでいたにも拘らず、第1回の年金改革法案基本文書の賛成票56票の結果では、野党との調整に時間を要するために15日までの延長を余儀なくされていたが、更に政治調整が難航しているために今月14日~18日の週への延長を余儀なくされている。(2019年10月3日付けエスタード紙)