今年1月のジャイール・ボルソナロ新政権誕生時には楽観ムードが支配して、大半のエコノミストは、今年のGDP伸び率を2.5%前後と予想していたにも関わらず、米朝貿易摩擦の継続や年金・恩給改革の遅れ、与党の稚拙な国会調整などの要因で、楽観論から悲観論が増加した。
今年9月前後には、大半のエコノミストは今年のGDP伸び率を0.8%前後まで下方修正を余儀なくされていたにも関わらず、雇用創出並びにクレジット部門の拡大に伴って、再び楽観論が増加傾向を示している。
イタウー銀行は、2週間前に今年のブラジルのGDP伸び率を前回予想の0.8%から1.0%に上方修正しており、過去3年間では初めての上方修正を記録している。
サフラ銀行では今年7月末のGDP伸び率は0.8%増加を予想していたが、今では0.9%増加に上方修正、もしくはそれ以上の伸び率を同銀行チーフエコノミストのCarlos Kawaii氏は予想している。
中銀の8月のフォーカスレポートでは、今年のGDP伸び率は0.8%予想であったが、最終フォーカスレポートでは0.88%に上方修正している。就労・失業者管理センター(Caged)の発表によると、今年初め9カ月間の労働手帳に記載される正規雇用は76万1,700人増加、また過去12カ月間のクレジット部門は前年同期比14.0%増加している。
XP Investimentos社チーフエコノミストのZeina Latif氏は、クレジット部門が関連する建設業部門の正規雇用の増加、500レアルまでの現役サラリーマンの勤続期間保障基金(FGTS)預金や凍結預金の先払い政策導入の後押しして、今年のGDP伸び率を1.1%増加と上方修正している。
勤続期間保障基金(FGTS)預金や凍結預金で消費拡大は1.8%が予想されていたが、先払い政策の導入で消費拡大は2.0%に上昇するとジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)エコノミストのシルヴィア・マットス氏は予想している。(2019年10月27日付けエスタード紙)