アルゼンチンでは今月27日に大統領選挙が行われ、中道左派の野党候補であるアルベルト・フェルナンデス氏が勝利宣言、大衆救済路線のペロン主義を掲げる正義党(ペロン党)のフェルナンデス氏の得票率は50%近くに達し、マクリ氏の40%を大きく上回る圧勝となった。
現職のマクリ大統領が打ち出していた経済緊縮策に対して、アルゼンチン国民の多くの有権者が反対票を投じた。マクリ大統領はフェルナンデス氏に対する敗北を認め、秩序だった政権交代の実現に向けた協議を呼びかけている。
アルゼンチンのマクリ政権は為替危機の影響でアルゼンチンペソが下落、インフレ高騰、8月11日に行われた大統領選挙の予備選挙で、マクリ大統領は予想外の大敗を喫していた。
ブラジル化学工業会(Abiquim)では、フェルナンデス大統領誕生でイデオロギー優先外交の復活、自国産業保護やEUメルコスールFTA協定見直し、金融自由化に歯止め、経済弱者への再配分導入政策の採用などが挙げられているが、新経済政策発表を静観している。
昨日ボルソナロ大統領は朋友のマクリ大統領候補の落選を嘆いた一方で、フェルナンデス大統領誕生に対して、「私は彼を祝福しようと思わない」と述べて両国関係にひびが入る発言をしている。
アルゼンチンのフェルナンデス次期大統領は、貿易収支改善のための保護貿易主義的政策の導入は考えられるが、ドラスティックな政策変更は発表していないとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は指摘している。
今年初め9カ月間のアルゼンチン向け輸出総額は75億ドル、自動車輸出は前年同期比51.8%減少の15億6,930万ドル、自動車パーツは29.0%減少の5億9,450万ドル、鉄鉱石は21.9%減少の2億3,640万ドル、タイヤは15.1%減少の1億7,780万ドルとなっている。(2019年10月29日付けヴァロール紙)