8カ月間を要して漸く国会で年金・恩給改革が承認され、今後の税制改革など一連の構造改革進展に弾みがつくムードなってきている追い風に便乗して、パウロ・ゲーデス経済相はアドミニストレーション改革などを国会に提出する。
連邦政府の財政責任法(LRF)が制定されて既に20年が経過しているために、新たな憲法改正による改革が必要となっており、ゲーデス経済相は、行政部門のアドミニストレーション改革並びに緊急憲法補足法案(PEC)、非インデックス化推進などのDDD緊急憲法補足法案(PEC)、連邦政府から地方政府への交付金分配改正案、地方政府救済法改正を織り込んでいる。
ジャイール・ボルソナロ政権は、自身が所属の下院議会で53議席を占める社会自由党(PSL)からの全面的な支持取付に苦慮している現状では、これらの緊急憲法補足法案(PEC)などの国会での承認は困難が予想されている。
まず初めに国会承認を擁しているのは緊急憲法補足法案(PEC)であり、連邦公務員の人件費などの義務的歳出の削減による年間経費の270億レアルの削減の一方で、公共投資拡大の必要性が挙げられている。
また緊急憲法補足法案(PEC)では、連邦政府の行政組織の効率化と経費削減を目的とし、公務員給与の凍結、労働時間の短縮、配置転換や免職、労働者支援基金(FAT)から社会経済開発銀行(BNDES)への送金禁止などが含まれている。
年金・恩給改革の国会での承認後の最初の構造改革として、税制改革が予定されていたにも拘らず、国会での承認に時間を要するために、先送りされる可能性が濃厚となっている。
行政部門のアドミニストレーション改革では、今後連邦政府に採用される新規公務員に対して、試用期間3年後でも能力不足や規則違反などで解雇される可能性があり、また117段階に達する職務階級の見直し、自動昇給の見直し、短期動労契約の規則制定、連邦公務員と民間企業の給与格差の短縮などが検討されている。
またDDD緊急憲法補足法案(PEC)では、非インデックス指数連動制度の廃止並びに非義務化、フレックス化の促進による効率化、州政府を含む医療・保健並びに教育向け分配比率の見直しが含まれている。多への転用が禁じられているブラジル刑務所ファンド(Funpen)など280ファンドの見直しも含まれている。
別称Walderyプランと呼ばれている連邦政府協定の変更として、現在プレソルト原油・天然ガス開発のロイヤリティ収入は連邦政府が独占しているが、地方政府(州・市)への分配変更が予定されている。
今月15日の上院本会議では、総額1,065億レアルの臨時歳入が見込まれている11月6日、7日に予定されている岩塩層下(プレサル)石油・天然ガスメガ入札の地方政府(州・市)への分配をめぐる法案が参加上院議員の全会一致の68票の賛成票を獲得して承認、ジャイール・ボルソナロ大統領のサインで可決される。
別称Mansuetoプランと呼ばれている州政府向け新救済策として、手元資金が不足している負債の少ない州政府に対する追加クレジットによる救済策の導入並びに財政責任法(LRF)で定められている支出総額の60%までに制限されている州政府公務員の給与総額限度を超えて、財政責任法(LRF)を果たしていないミナス州並びにゴイアス州にも州財政救済制度(RRF)の適用が検討されている。(2019年10月29日付けエスタード紙)