ゲーデス経済相の改革プランは公共支出ロジック変更を模索

年末まで2カ月を切っているにも関わらず、パウロ・ゲーデス経済相は公共会計の構造問題解決並びに持続的経済成長への道標となる3種類の再建政策パッケージを発表した。

8カ月間を要して漸く国会で年金・恩給改革が承認され、今後の税制改革など一連の構造改革進展に弾みがつくムードなってきている追い風の中で、パウロ・ゲーデス経済相は、斬新で複雑な改革パッケージを上院議会に提出したが、来年の地方統一選挙を前に、各州知事や大都市の有力市長などを取り込む困難なロビー活動を余儀なくされる。

公共会計の構造問題解決プランは、「Plano Mais Brasil(ブラジルの更なる飛躍プラン)」と命名されており、このプランには連邦政府から地方政府(州・市)に対する財政独立強化、柔軟な公共支出、公務員関連規則変更が盛り込まれている。

「Plano Mais Brasil(ブラジルの更なる飛躍プラン)」は、初め上院の憲法司法委員会、本会議においてそれぞれの審議・承認(上院本会議では6割以上の賛成に相当する49票以上の獲得が必要、投票は2回)、また下院の憲法司法委員会、下院本会議においてそれぞれの審議・承認(6割以上の賛成に相当する308票以上の獲得が必要、投票は2回)を経て成立する。

3種類の再建政策パッケージの中で、Pacto Federativo(連邦協定)憲法補足法案(PEC)では、今後15年間に石油・天然ガス開発部門から地方政府に4000億レアルの分担金(交付金)が宛がわれる。

またPEC Emergencialパーケージ(緊急憲法補足法案)では、今後2年間で連邦公務員の人件費などの義務的歳出削減による年間経費の280億レアルの削減の一方で、公共投資拡大の必要性が挙げられている。

PEC dos Fundos Publicos(政府系ファンド憲法補足法案)では、転用が禁じられているブラジル刑務所ファンド(Funpen)などの総額2,200億レアルに達する凍結資金の活用が見込まれている。

しかし「Plano Mais Brasil(ブラジルの更なる飛躍プラン)」の国会承認前に、行政部門のアドミニストレーション改革並びに税制改革、エレトロブラス電力公社(Eletrobras)などの民営化法案が国会に送られる予定となっている。

連邦政府では州知事や市長など地方政府向け交付金の割当増加に対して、地方公務員の勤務時間短縮やサラリーの最大25%カット、今後2年間の最低サラリー凍結、自動昇給の見直し、新規公務員採用試験の中止などを交換条件として交渉が予定されている。(2019年11月6日付けエスタード紙)

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