過去3か月間の米中貿易摩擦の激化に伴う世界貿易縮小の影響を受けて、ブラジルの貿易収支悪化による経常収支赤字を高止まり並びに海外投資家のブラジル国内の金融投資からの逃避の影響を受けて、レアル通貨に対するドル高に結び付いている。
中銀の統計によると、2019年10月の海外投資家によるブラジル国内の投資は84億9400万ドルの逃避を記録、1982年から統計を取り始めて最高の逃避高を記録している。
海外投資家のブラジル国内の投資の逃避は今年8月から継続しており、8月から10月22日までの逃避総額は193億ドルに達しており、中銀は過去3か月間で228億ドルの為替介入を余儀なくされている。
また過去3か月間の経常収支悪化の要因として、世界貿易縮小によるブラジルの輸出減少並びに利益・配当金送金、海外投資家による株や国債などの金融投資のサービス収支の赤字拡大となっている。
政策誘導金利(Selic)が過去最低の5.0%まで引下げられ、また今後も継続してSelic金利引下げ予想で、ブラジル企業が外国での資金調達から国内での資金調達に切り替える傾向となっている。
中銀では今年10月の経常収支赤字を昨年同月の5億4,000万ドルの10倍以上に相当する58億ドルを予想、金融投資はマイナス42億ドル、対内直接投資は72億ドルの黒字を見込んでいる。
前記同様に9月の経常収支は35億ドルの赤字、金融投資はマイナス49億ドル、対内直接投資は63億ドルの黒字、また8月は43億ドルの赤字、マイナス66億ドル、95億ドルの黒字であった。(2019年11月7日付けヴァロール紙)