11月6日に実施されたプレソルト鉱区の石油・天然ガスメガ入札では、国庫庁に臨時歳入として約1,065億レアルが見込まれていたにも関わらず、入札にかけられた4鉱区のうち僅か2鉱区でしか応札がなかった。
また昨日7日の第6回プレソルト入札では、入札にかけられた5鉱区の内Aram鉱区のみがペトロブラス石油公社が権益80%、コンソーシアムを組んだ中国資本CNOCD(中国石油天然气勘探开发公司)が権益20%の割合で、落札価格50億5,000万レアル、原油生産開始後の利益分配率29.96%で落札した。
この2回のプレソルト鉱区の石油・天然ガス入札には、世界の石油メジャーであるExxon社並びにChevron社、Repsol社、Total社、英国/オランダ資本のシェル社などは参加していない。
11月6日に実施されたプレソルト鉱区の石油・天然ガスメガ入札での予想臨時歳入1,065億レアルに対して700億レアル、11月7日の第6回プレソルト入札での予想臨時歳入の358億レアルに対し、僅か50億5,000万レアルと予想臨時歳入の約70%に留まった。
今回の2日連続のプレソルト鉱区の石油・天然ガス入札では、ペトロブラス石油公社の有利な立場での入札参加に対し、大手石油メジャーの不参加による拒絶反応に対して、連邦政府は今後のプレソルト鉱区入札の参加条件変更を余儀なくされている。
今後のプレソルト鉱区石油・天然ガス入札条件変更として、ペトロブラス石油公社に対する30%のコンソーシアム参加優先権並びに入札最低価格の設定、原油生産開始後の利益割当制などの見直しを余儀なくされている。
現在は石油などの化石燃料からクリーンエネルギーの代替燃料への過渡期であり、また今後のプレソルト鉱区の石油・天然ガス入札条件をポスソルト鉱区の石油・天然ガス入札条件同様に、最高入札価格での落札に戻す必要性が指摘されている。
パウロ・ゲーデス経済相は、原油生産開始後の利益分配方法は労働者党(PT)政権の遺産であると批判、またプレソルト鉱区の石油・天然ガス入札は、ペトロブラス石油公社とコンソーシアム組まなければ、たとえ石油メジャーでも参入できないと元ブラジル石油監督庁(ANP)のDavid Zylberstajn取締役は指摘している。
プレソルト鉱区の入札企業は、PPSA(Pre-Sal Petroleo S.A.)及びペトロブラスとコンソーシアムを組成しなければならない。PPSA は 2010 年の石油改革法で設置された連邦政府機関であり、政府の利益を代表して生産分与契約の管理を行うことを目的としており、ペトロブラス石油公社は、同法で生産分与契約の下でのオペレーターとして定義され、コンソーシアムにおいて最低限 30%ステークを保持することとなっている。
2006年にブラジル沿岸のエスピリット・サント州からサンタ・カタリーナ州沿岸の岩塩層下(プレソルト)で発見された膨大な埋蔵量を誇る原油開発を2003年から2010年まで政権についていたルイス・イナシオ・ルーラ元大統領は、ペトロブラスに独占権を与えた一方で、入札参加企業に対して、無理難題の規制をかけて、プレソルト油田開発が遅れていた経緯があった。
ブラジルは過去10年の間に世界のエネルギー事情の変化を無視し、またプレソルト原油を独占並びに国内造船業の復活のために、石油メジャーの意欲を削ぐ規制をかけ、漸くプレソルト鉱区入札に漕ぎ着けたものの石油価格低迷でタイミングを失っている。(2019年11月8日付けエスタード紙)