米中貿易摩擦の継続による世界貿易の縮小並びに継続するアルゼンチンの経済リセッション、国際コモディティ価格減少などの要因で、ブラジルの2020年の貿易収支は今年よりも悪化すると予想されている。
米国と中国が貿易関税摩擦問題で歩み寄らなければ、2020年のブラジルの貿易収支は350億ドル~400億ドルに留まると予想、今年初め10カ月間のブラジルの貿易収支は、前年同期比26.7%減少の348億ドルの黒字に留まっている。
中銀の最終フォーカスレポートによると,2019年のブラジルの貿易収支は前年比19.4%減少の470億ドルの黒字に留まると予想、民間銀行では470億ドルの黒字を下回ると予想している。
2018年の世界の平均経済成長率は3.2%であったが、今年は2.7%に減少すると予想、国際通貨基金(IMF)の調査では、今年初め9カ月間の世界の輸出総額は前年同期比0.7%減少したが、2018年同期は14.0%増加していた。世界貿易機関(WTO)では、今年の貿易額を前回予想の2.6%増加から1.2%増加に下方修正している。
今年初め9カ月間のブラジルの輸出量は前年同期比2.6%減少、また輸出価格も3.2%減少、特に大豆価格は10%減少、今年の大豆輸出量も1,100万トン減少するとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は指摘している。
ブラデスコ銀行では今年初め9カ月間の輸出額は前年同期比100億ドル減少、そのうち56億ドルは、農畜産や石油などの国際コモディティ価格の減少に起因していると指摘している。
今年初め10カ月間のラテンアメリカ諸国との貿易比較では、アルゼンチンとの貿易収支は、自動車輸出の壊滅的な影響で6億2,000万ドルの赤字を計上している一方で、昨年同期は41億2,000万ドルの黒字を計上していた。
前記同様に中国との貿易収支は15億7,000万ドル、24億ドルのそれぞれ黒字、コロンビアは12億4,000万ドル、7億4,000万ドルの黒字、ウルグアイは8億ドル、11億6,000万ドルの黒字、パラグアイは8億9,000万ドル、14億9,000万ドル、ペルーは1億9,000万ドル、4億4,000万ドルそれぞれ黒字を計上している。
またボリヴィアは6億1,000万ドル、2億3,000万ドル、エクアドルは2億ドル、5億8,000万ドル、ヴェネズエラは4億3,000万ドル、4億ドルの黒字を計上、メキシコは4億3,000万ドルの黒字を計上しているが、昨年同期は4億5,000万ドルの赤字を計上していた。
今年初め10カ月間のアルゼンチンを世買いしたブラジルのラテンアメリカ地域の貿易額は前年同期比2.8%減少の68億ドル、特にチリ向け輸出は19.5%減少、ウルグアイ21.3%減少、パラグアイ19.4%減少している。
UBS銀行では、アルゼンチン並びにブラジル、チリ、コロンビア、ペルー、メキシコ、ヴェネズエラの今年の平均GDP伸び率はマイナス0.6%が予想、ヴェネズエラを除外した今年の平均GDP伸び率はマイナス0.5%を予想している。
ブラデスコ銀行では、今年の貿易収支は417億ドルの黒字を予想、2020年は380億ドルの黒字に減少すると予想、また今年の経常収支赤字は470億ドル、2020年は500億ドルの赤字に拡大すると予想している。
2016年のブラジルの貿易収支黒字は476億9,000万ドル、2017年は669億8,000万ドル、2018年は582億9,000万ドルを計上、今年は470億ドル、来年は429億5,000万ドルの黒字に減少すると予想されている。(2019年11月18日付けヴァロール紙)