ブラジル訴訟対策セミナーは満員御礼の60人以上が参加して開催

政策対話委員会(佐藤真吾委員長)労働ワーキンググループ(山崎 一郎グループ長)主催のブラジル訴訟対策セミナーは、2019年12月4日午後4時から6時まで満員御礼の60人以上が参加して開催された。

講師のFactor弁護士事務所の佐藤ジルセウ弁護士は、流暢な日本語で2017年11月の労働法改正以降2年が経過したにも関わらず、新規労働裁判件数が減少している一方、労働法改正前の契約から発生する訴訟リスクは依然として存在しており、新たな駐在員向けに訴訟の仕組みを基礎から解説すると共に、労働法改正前から駐在する人事担当者に対して、企業や法廷とは異なる第三の場所で行う「仲裁人・仲裁機関」の活用や「裁判外合意」などの紹介を通じて、訴訟リスクを回避する方法を詳細に説明した。

初めに佐藤ジルセウ弁護士は、ブラジルの人口は世界全体の3%を占めているに過ぎないが、労働裁判の訴訟件数は世界全体の98%と信じられない実態を説明、2018年の係争中の裁判件数は7870万件、訴訟1件で最低2人関係と仮定すれば経済人口の1.3件に相当すると驚異的な実態を説明、参加者から感嘆のため息が漏れた。

続いて2017年11月の労働改正法の影響として裁判件数の減少並びに理由、労働組合の弱体化。ブラジルに於ける訴訟に基本として労働裁判のプロセス、認知裁判の流れ、上訴や強制執行裁判の流れ、時効、労働訴訟原告の要求内容では、派遣契約の補完責任並びに兼務手当や職務の流用、健康阻害手当、パワハラやモラハラ、セクハラなどの精神的苦痛、更なる解約金の上乗せ、残業代、年次有給休暇などを挙げた。

また佐藤ジルセウ弁護士は、労働者の法的定義、労働改正法前後の労働条件解釈の違い、ジャイール・ボルソナロ政権下の労働法改正の動きではミニ労働法改正法と呼ばれる経済自由化法、暫定令MP905号のVerde Amarelo暫定措置令の労働条件変更や罰金、社会保障院への積立変更、労働契約条件変更や企業のメリット・デメリット、今後の労働法の動向などについて説明した。

質疑応答では、理由なき解雇及び自主退職、残業代、WhatApps使用の解釈、外勤管理、従業員の法人契約のメリット・デメリット、強制的契約訴訟、兼務手当支払い、残業代請求、遅刻に関するペナルティ、理由のある解雇に対する客観的証拠などが挙げられた。

Pdfブラジル訴訟対策セミナー Fator弁護士事務所の佐藤ジルセウ弁護士

講演中のFactor弁護士事務所の佐藤ジルセウ弁護士

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

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