ペトロブラス石油公社をめぐるラヴァ・ジャット汚職事件の連邦警察による捜査が2014年3月に開始、ゼネコン最大手のOdebrecht社(オデブレヒト社)が長年にわたって常習的に取引先企業との契約で水増し請求をさせ,捻出した裏金を政党や有力政治家に繰り返し渡していた事件の発覚で、同社をはじめブラジル国内の大手ゼネコンの多くは企業閉鎖を余儀なくされた。
2015年4月のペトロブラスの2014年度のバランスシートで、ラヴァ・ジャット関連の汚職による損害総額は62億レアルに達しているとロベルト・カステロ・ブランコ総裁は説明している。
しかし今年11月末までにラヴァ・ジャット関連汚職による損害62億レアルのうち42億レアルはすでに回収、今年の損害回収は7億5,000万レアルに達しているとブランコ総裁は説明している。
またペトロブラスは、過去15年間に亘って汚職組織から多大な損害を受け、ペトロブラスの2,000人の従業員が証人喚問などの捜査対象になったことに対して謝罪している。
2006年に建設開始されたプレソルト鉱区で生産される原油・天然ガスの精製を目的としたリオ州のリオ石油製油所コンビナート(Comperj)の建設工事は、2014年3月に発覚した連邦警察のペトロブラス石油公社関連ラヴァ・ジャット作戦汚職問題による公共事業プロジェクト停止や新規インフラ事業取消などの影響で2015年7月から中断されており、未だに工事は再開していないが、既に総額150億ドルの投資が無駄になっており、リオ石油製油所コンビナート(Comperj)は汚職の墓場と化している。
またバイア州サルバドール市に建設されたペトロブラスの事務所“Torre Pituba”と呼ばれている豪華な事務所は20億レアル以上の投資が行われたが、汚職組織の巣で無用の長物となっていた。
ペルナンブコ州のアブレウ・エ・リマ製油所には既に20億レアルが投資されているが、世界で最も高価な石油製油所とブランコ総裁はラヴァ・ジャット汚職で多大な損害を被ったペトロブラス再建に全力を注いでいる。
ペトロブラスでは、資産売却並びにコア事業に資本集中するためポートフォーリオ事業を中心とした資産売却を果敢に進めており、ブラジル国内に擁する26カ所の火力発電所のうち15カ所の火力発電所を売却する。
ペトロブラスは2000年からブラジル国内の北東部地域並びに南東部地域、北部地域、南部地域で火力発電所の建設を開始したが、プレソルト原油・天然ガス開発のコア事業に資金を集中するために、ポートフォーリオ事業の資産売却を行っている。
今年4月にペトロブラスは、傘下のTransportadora Associada de Gas(TAG)の株式の90%をフランス資本Engie社並びにカナダの年金ファンドCaisse de Depot e Placement du Quebec(CDPQ)で構成されるコンソーシアムに86億ドル(330億レアル相当)で売却している。
今年11月には、ペトロブラスグループ傘下の一般家庭用プロパンガス配給会社Liquigas社を37億レアルで、イタウー銀行の投資部門のItausa社並びにUltraグループに売却している。(2019年12月10日付けヴァロール紙)