緩やかな経済回復サイクル及び過去最低の4.5%の政策誘導金利(Selic)などの要因で、2019年の海外投資家や外資系企業による外貨の海外逃避が顕著となった。
2019年のドル通貨の流出をドル通貨の流入を448億ドル上回って、1999年に記録した161億8,200万ドルの3倍弱に相当する外貨が海外に逃避。特に株や国債などのファイナンス部門の逃避は622億ドルに達している。
また政策誘導金利(Selic)が過去最低となる4.50%まで低下したために、海外投資家は魅力がなくなってきたブラジル国債の投資などから一斉に逃避した。1997年のSelic金利は43.41%と海外投資家にとってブラジル国債は、収益率の非常に高い花形投資であった。
4.50%まで低下した政策誘導金利(Selic)で、昨年下半期からペトロブラス石油公社は、外貨での負債軽減を積極的に図っているために外貨重出に拍車がかかっている。
昨年の株や国債などのファイナンス部門の622億ドルの海外逃避は、2017年の523億ドルを上回っている。政策誘導金利(Selic)の低下に伴って、今後海外投資家は、短期の金融投資から製造業部門向けやインフレ整備向けの長期投資に移行すると予想されている。
また昨年の米中貿易摩擦による世界貿易縮小並びに経済回復の遅れによるブラジルの製造業部門の中間財の輸入減少、またアルゼンチンの為替危機によるブラジルからの資本財輸出減少でブラジルの貿易収支黒字も大幅に減少していた。(2020年1月9日付けエスタード紙)