大王製紙及び丸紅は、ブラジルSanther社の全株式買収

大王製紙及び丸紅は、ブラジルのSanther社の全株式を23億レアルで間接的に取得することで合意。3世代続くHaidar一族が所有するSanther社の株式は、大王及び丸紅がそれぞれ51.0%及び49.0%出資するブラジルの共同投資会社であるH&PC BRAZIL PARTICIPAÇÕES S.A.を通じて100%取得する。

大王及び丸紅が共同でブラジル市場に新規参入する要因として、ブラジルは世界4位の衛生用品並びにパーソナルケアマーケットであり、ブラジル国内の人口増加及び経済成長が著しく、今後もパーソナルケアを始めとした消費財への需要増加が大いに見込まれる魅力的な市場であると判断した。

トイレットペーパー「Personal(ペルソナル)」やキッチンペーパー「Snab」ブランドを擁するSanther社は、2018年から5億レアルに達する負債返済のための事業再編に取り掛かっていた経緯があった。

ブラジルのH&PC市場は、世界有数の市場規模で過去5年間での衛生用紙は年率平均で5.6%、紙おむつは5.4%の伸び率を記録、人口増加や生活水準向上に伴うH&PC普及率上昇で今後も継続的な市場拡大が見込まれている背景がある。

世界の衛生用品並びにパーソナルケアのマーケット規模は1,800億ドルに達しており、今後数年間の平均伸び率は3.0%増加予想、ブラジルのマーケット規模は米国並びにヨーロッパ、中国について世界4位を確保している。

Santher社は1938年設立、ブラジルにおいて衛生用紙及びベビー用おむつや生理用ナプキン等のパーソナルケア商品を製造・販売、創業80年以上の歴史があり、Santher製品のブラジル全土におけるブランド認知度は非常に高く、特に現地消費者から高く評価されている「Personal(ペルソナル)」ブランドにより、H&PC市場のリーダーとしての確固たる地位を築いる。

大王製紙の今回のSanther社買収は長期ビジョンに基づいた戦略で、今回の買収ではパーソナルケアを始めとした消費財への需要増加が大いに見込まれるブラジル市場へ進出する絶好の機会と捉えている。

また丸紅は、衛生用紙及び紙おむつや生理用ナプキン等のH&PC製品の海外展開を新たな成長機会と捉え、H&PC事業を通じて高品質な商品を提供、衛生的な環境と安心・快適な生活の実現に寄与する意向を示している。

最近のブラジルの紙・パルプ業界は再編が進んでおり、2018年にはFeffer一族が所有するブラジル製紙業界2位のSuzano Papel社は、業界トップのFibria社を278億レアルの株式交換で吸収合併に成功、時価総額で世界最大の短繊維パルプメーカーが誕生。アジア系企業RGE社も、サンパウロ州に本社を置くパルプメーカーLwarcel社を買収している。

また2019年にはブラジル国内でのユーカリ植林事業のM&Aが活性化しており、CMPCグループ傘下のSoftys社はSepac社を13億レアルで買収していた。(2020年2月28日付けエスタード紙)

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