新型コロナウイルスの影響による国内経済ダメージを軽減するために先進諸国は競って天文学的な財政支出を行っているが、ブラジルの大半のエコノミストは、連邦政府は過剰の債務を抱えているにもかかわらず、連邦政府の財政支出引き上げに余裕があると指摘している。
今年1月の連邦政府の公的債務残高はGDP比76%に達しているにも関わらず、新型コロナウイルスの影響による国内経済ダメージを救済するために、国庫庁の外貨準備金の用途をエコノミストは指摘している。
ジャイール・ボルソナロ政権は、新型コロナウイルス対策としてGDP比2.7%に相当する総額1,990億レアルの財政支出を発表したに過ぎない。例えばドイツも過剰債務を抱えるにもかかわらず、GDP比30%に達する財政支出パッケージを発表している。
財政支出総額は新型コロナウイルスの影響による経済停滞期間如何にかかわっており、個人や企業支援策が優先される。財政支出政策如何では失業者があふれる可能性をItaú UnibancoエコノミストのPedro Schneider氏は指摘している。
発表されている総額1,990億レアルの財政支出のうち41%に相当する810億レアルが増加分であり、残りは年内の歳入予定となっている。
今重要なことは新型コロナウイルスに対する緊急な対応策の採用であるが、外的要因による経済危機を乗切るための財政支出であり、慢性化させてはならないとPedro Schneider氏は指摘している。
海外の金融危機などに対応するための国庫庁の外貨準備金だけで、連邦政府は約1兆レアルの緊急支出に対応できるとPedro Schneider氏は説明している。
連邦政府は世界金融市場が暴風雨の真っただ中で転覆船のように舵取りができない時は、連邦政府の国債発行を防御するために、外貨準備金が非常に重要となる。
連邦政府はこの非常時には、国会議員が指摘している5,000億レアルの外貨準備金の注入を上回る6,000億レアルに達する外貨準備金の注入が可能であるとコンサルタント会社LCA社エコノミストのBráulio Borges氏は指摘している。
国際通貨基金(IMF)が推奨する金額を上回る外貨準備金総額の35%に相当する1,270億ドルを緊急財政支出として使用可能とBráulio Borges氏は算盤を弾いている。
6,000億レアルの外貨準備金の注入は新型コロナウイルスの影響で、ブラジル国内経済が3か月停滞する場合であり、わずか1か月で終焉すれば緊急財政支出パーケージを小規模にとどまるとBráulio Borges氏は説明している。
コンサルタント会社Tendências社エコノミストのFabio Klein氏は、外貨準備金の代わりに20年や30年物の国債発行による資金調達も可能であるが、将来的に非常に高くつくと指摘している。(2020年3月24日付けエスタード紙サイトより抜粋)